内 容
事実と虚構のあわいに求められた道とは ——。文明を問う「社会派推理小説」によって出発した水上勉。だが、自らの生と重ねて「寺を焼き」「竹を削り」一休・良寛の境涯を跡づけつつ、遂には芸術と救済の向こうへと歩み出す。晩年の日々まで、その文業を初めて本格的に捉えた畢生の力作。
目 次
Ⅰ
第1章 『五番町夕霧楼』の復権
第2章 『雁の寺』から『雁の寺 全』へ
第3章 『越前竹人形』のその後
第4章 『金閣炎上』と<熊野>
第5章 『金閣炎上』の構成意識
第6章 『一休』における水上勉の <わたくし>
Ⅱ
第7章 公害問題と水上勉
—— 文明 vs. 反文明の構図
第8章 『飢餓海峡』の達成
第9章 社会派ミステリーから日本型私小説へ、そして
Ⅲ
第10章 『蓑笠の人』と『良寛』とのあいだ
—— さまざまな帰郷
第11章 『才市』へと至る道
第12章 電脳暮しの日々
—— 言葉を超えた世界へ
あとがき
索 引
書 評
『ミステリマガジン』(2022年5月号、第67巻第3号、評者:嵩平何氏)
『週刊読書人』(2022年1月28日号、第3425号、評者:黒古一夫氏)