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文学・文化

性が語る

20世紀日本文学の性と身体
坪井秀人 著

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価格 6,000円
判型 A5判・上製
ページ数 696頁
刊行年月日 2012年
在庫状況 在庫有り
ISBNコード 978-4-8158-0694-1
Cコード C3095

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内 容

ラフカディオ・ハーンから伊藤比呂美まで —— 性の政治性を問題化することをフェミニズム批評と共有しながらも、思想の道具化を排し、20世紀日本文学がとらえる性のすがたを、語る主体に焦点を当てることで、個々のテクストに即して描き出す。語り書く男性そして女性の、愉悦と葛藤を内包した声や身体を〈私〉へと奪還する試み。


目 次

序 章 性が語る

  第Ⅰ部 ジェンダー化する近代
       —— 性の非対称(1)

第1章 電話する女たち
     1 声の沼、声のナルシズム
     2 不透明な電話線
     3 電話交換手という存在
     4 交換手の素顔
     5 〈電話する女〉と〈電話を聞く女〉

第2章 ヒステリーの時代
      ——『或る女』のマッド・シーン
     1 ルチア、あるいは高き声
     2 ヒステリーの時代と『或る女』
     3 ヒステリー小説群 ——「女のなか」「神経病時代」『苦の世界』
     4 『或る女』のマッド・シーン

第3章 戦争と〈女の感受性〉
      —— 与謝野晶子
     1 1942年という年
     2 「君死にたまふことなかれ」の波紋
     3 「君死にたまふことなかれ」はなぜ危険なのか

第4章 少国民たちの夢と欲望
      ——『週刊少国民』における詩と写真
     1 『週刊少国民』の成立とその性格
     2 大正期自由主義との切断/連続
     3 詩の言葉とヴィジュアリティ

  第Ⅱ部 日本という身体
       —— ハーンと萩原朔太郎

第1章 浦島のゆくえ
      —— ハーンと〈日本回帰〉
     1 〈日本回帰〉と文明開化
     2 ハーンの日本回帰と女性的なるもの
     3 〈「青猫」以後〉と文明開化
     4 〈「青猫」以後〉と交通の不可能性
     5 日本回帰と〈フェミニズム〉
     6 伊東静雄の場合
     7 ハーンと〈日本の女性〉
     8 ハーンの亡霊と1940年代

第2章 萩原朔太郎の性と病性
     1 反規範としての病性 —— 萩原・室生・山村・大手
     2 〈懺悔〉と進化論
     3 身体表象と解剖学的視線

  第Ⅲ部 植民地主義と声、あるいは書くこと
       —— 知里幸恵と李箱

第1章 みずからの声を翻訳する
      ——『アイヌ神謡集』の声と文字
     1 みずからの声を翻訳すること ——『アイヌ神謡集』の成立過程
     2 オリエンタリズム/オクシデンタリズムの二重性
     3 『アイヌ物語』と『あいぬ物語』
     4 翻訳と表記
     5 囲い込まれる声
     6 『アイヌ神謡集』におけるローマ字表記

第2章 怠惰とコキュ
      —— 李箱のモダニズム
     1 モダニズム —— 世界的同時性の時代
     2 二重性を生きる李箱
     3 李箱詩と〈抵抗〉
     4 李箱文学における〈怠惰〉
     5 パリの〈コキュ〉—— 武林無想庵と金子光晴
     6 飛ぶ李箱

  第Ⅳ部 性的身体としての語り
       —— 谷崎潤一郎

第1章 身体創造とユートピア
     1 『金色の死』の序
     2 「父となりて」をどう読むか
     3 〈呪われた作者〉と〈醜い我が子〉——『フランケンシュタイン』
     4 作者にして作品 ——「金色の死」における自己芸術化
     5 裸体主義と優生思想
     6 〈模範夫婦〉——「創造」における身体創造

第2章 『痴人の愛』の私
     1 『痴人の愛』の一人称語り
     2 見る〈私〉/見られる〈私〉
     3 モダン都市のなかの〈私〉
     4 〈私〉から〈譲治〉へ

第3章 〈彼女の物語〉をさがして
      ——『少将滋幹の母』
     1 語りと視線
     2 焦点化と多声法
     3 物語群の織物としての物語
     4 語り手のいる場所
     5 〈彼女の物語〉をさがして

第4章 男もすなる
      —— 日記のジェンダー・ポリティクス
     1 日記文学という領域
     2 欲望生成システム ——『蘆花日記』
     3 〈日記戦争〉—— トルストイの日記
     4 『鍵』における性の闘争

第5章 子を産まぬ母
      ——『夢の浮橋』
     1 作家神話の呪縛
     2 ポルノグラフィ的欲望の在所
     3 子を産まぬ母

  第Ⅴ部 女の声を盗む
       —— 太宰治

第1章 語る女たちに耳傾けて
      —— 太宰治・女性独白体の再検討
     1 語り手の性差
     2 女性独白体という領域
     3 狂気語りと書く女

第2章 女の声を盗む
     1 消費される〈女生徒〉
     2 太宰治の女性独白体小説
     3 「女生徒」と『有明淑の日記』
     4 剽窃か模倣か
     5 〈書くこと〉をめぐる闘争

第3章 作者の決闘
      ——「女の決闘」における翻訳/翻案
     1 奇妙なテクスト「女の決闘」
     2 「女の決闘」における〈翻案〉と〈パロディ〉
     3 批評としての翻訳
     4 翻訳を翻案すること

第4章 切断と連続
      ——『斜陽』と天皇
     1 写真の中の 〈明るい天皇〉
     2 『斜陽』における天皇の写真
     3 〈人間宣言〉における切断/連続
     4 切断と連続 —— 敗戦をまたぐ『斜陽』
     5 〈戦後〉の聖母子像

  第Ⅵ部 女が書く/男が書く
       —— 性の非対称(2)

第1章 性の非対称
     1 マゾヒズムとパッション —— 河野多恵子『みいら採り猟奇譚』
     2 理解不可能性としての〈性〉—— 吉行淳之介『暗室』
     3 性の非対称 —— 富岡多恵子「遠い空」『波うつ土地』ほか

第2章 〈あのれきしあ〉は語る
      ——〈食べる〉ことと性
     1 女性ジェンダーと〈食べる〉こと ——『301・302』ほか
     2 食文化を映す小説 ——『キッチン』と『巨食症の明けない夜明け』
     3 癒しから遠く離れて
       ——『脂肪と言う名の服を着て』『リバース・エッジ』ほか

  第Ⅶ部 現代詩と女の身体
       —— 伊藤比呂美

第1章 伊藤比呂美という詩人
     1 伊藤比呂美と1980年代
     2 詩のトポスとフェミニズム
     3 詩人としての活動

第2章 伊藤比呂美初期詩論
      ——『草木の空』から『青梅』まで
     1 〈個〉から〈種〉へ —— 詩人の出発
     2 声と言葉の間
     3 毛抜きと帰化植物
     4 〈食べる〉ことと性
     5 詩「Ç考」がひらいたもの
     6 〈意味〉をのがれて

第3章 『テリトリー論2』
     1 1980年代の〈女性詩〉
     2 〈産む性〉と〈産まぬ性〉
     3 散文スタイルの問題
     4 対話とポリフォニー

第4章 『テリトリー論1』
     1 共同制作としての詩集
     2 写真とアウラ ——「先天性」
     3 〈父〉を書くこと ——「Triptych」「おとうさんはブルー」
     4 写真との格闘と対話 ——「編集者の靴」「酢油」
     5 母系世界と言葉 ——「コヨーテ」
     6 〈照葉樹林文化〉の批評性 ——「悪いおっぱい」「ヒガンバナ」
     7 引用とミニマリズム

第5章 『テリトリー論』以後
     1 死と殺生
       ——「まだらネコが空を飛ぶ」/ “THE PAINTED CAT FLIES IN THE SKY”
     2 〈声〉をいとおしむ ——「ナシテ、モーネン」
     3 老いと死を凝視める ——『とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起』

 注
 性が私に語ること —— あとがきに代えて
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