書籍の内容
死と神秘の世界を透視した “過剰なる女”、平塚らいてう。謎に満ちたその生に分け入り、彼女のフェミニズムの核心に触れるとともに、奇妙な心中未遂事件 —— 煤煙事件 —— を通して、このらいてうと接近遭遇した漱石の、“解釈小説“ 『こゝろ』 に到る女性像と小説作法の変転を解読する。
書籍の目次
序 論
第Ⅰ部 情死劇調書 —— 平塚らいてうと 「煤煙事件」
序 章 「煤煙事件」 とは何か
第1章 事件報道 (明治41年3月以降)
第2章 出会い (明治40年6月~41年1月)
第3章 密会 (明治41年2月1日)
第4章 交際 (明治41年2月2日~3月19日)
第5章 同化というプロット
第6章 氷獄へ (明治41年3月20日~25日)
第Ⅱ部 死界の太陽 —— 見者平塚らいてう
序 章 雷 鳥
第1章 スター
第2章 父母未生以前
第3章 太 陽
第4章 死
第5章 再 会
第6章 接 吻
第7章 一と二
第8章 内面道徳
第9章 新しい家族
第10章 種 族
終 章 永 生
第Ⅲ部 漱石文学の中のらいてう
序 章 事件後の漱石とらいてう
第1章 奇妙な三角関係 —— 事件の伏線としての 『草枕』
第2章 「無意識の偽善者」 は実在するか —— 『三四郎』 とズーダーマン
第3章 「無性格」 の偽善者たち —— 『三四郎』 『煤煙』 とメレディス
第4章 師は (女を) 奪う —— 『煤煙』 『それから』 とダンヌンツィオ
第5章 男の絆 —— 『行人』 の同性社会的世界
第6章 自然の技巧家たち —— 解釈小説 『こゝろ』 とそれ以降