内 容
世界史を動かし続けた東南アジアを、先史から現代までの全体史として描く、第一人者による決定版。下巻では、植民地支配をこえて独自の国民国家が生成する激動の過程を、消費文化やジェンダー、知的交流などの視点もまじえて示し、多様性を乗りこなす知恵と現代の発展を含蓄豊かに描き出す。
著者・訳者紹介
《著 者》
アンソニー・リード
(Anthony Reid)
ニュージーランド・ウェリントン生まれ(1939年)。オーストラリア国立大学太平洋アジア研究所教授、国立シンガポール大学アジア研究所所長などを経て、現在オーストラリア国立大学アジア太平洋カレッジ名誉教授。近代アチェ史研究からキャリアを始め、The Age of Commerce in Southeast Asia, c. 1450-1680, 2 vols.(1989; 1993)で東南アジア史にアナール学派の歴史概念を導入し、第一人者としての評価を確立した。インドネシアを中心とする近世・近代東南アジア史研究を専門とし、ナショナリズム研究や環境史でも多数の著作がある。
(所属等は本邦訳刊行時のものです)
《監訳者》 太田 淳/長田紀之
《訳 者》 青山和佳/今村真央/蓮田隆志
目 次
第12章 国家をつくる 1824-1940年
ヨーロッパのナショナリズムと領域画定
ヌサンタラの諸政体 —— 多数からふたつへ
極大化するビルマ、生き長らえるシャム
ウェストファリアと中華帝国
国家のインフラストラクチャーを建設する
インドシナ —— 国家はいくつあるのか
新たな主権空間における民族構築
国家の生成、未完のネーション
第13章
—— 人口増加と貧困 1830-1940年
人口増加
インヴォリューションと農民の非自律化
二重経済とブルジョワジーの不在
女性を従属させる
貧困の共有と健康の危機
第14章 消費する近代 1850-2000年
危うい環境に適した住居
食物の進化
魚、塩、肉
嗜好品と飲み物
布と衣服
近代的服装とアイデンティティ
表演 —— 祭礼から映画へ
第15章 進歩と近代 1900-1940年
絶望から希望へ
教育と新たなエリート
ネーション概念の勝利 —— 1930年代
男性的近代をめぐる交渉
第16章 20世紀半ばの危機 1930-1954年
経済的危機
日本による占領
1945年 —— 革命のとき
独立 —— 革命か、交渉か
第17章 軍と王とマルクスと
—— 権威主義的転回 1950-1998年
民主主義の短い春
銃が革命を継承する
フィリピン式独裁
「保護」された君主制の鋳直し
インドシナ諸王の黄昏
タイ —— 正法王の再創造
共産主義者の権威主義体制
第18章 商業への回帰 1965年以降
ついに訪れた経済成長
増える米、減る子ども
指令経済諸国の開放
得たものと失ったもの
陰鬱なコスト —— 環境破壊と政治腐敗
第19章 ネーションをつくる、マイノリティをつくる 1945年以降
高度近代主義の時代 1945-1980年
教育とナショナル・アイデンティティ
ピューリタン・グローバリズム
統合された、しかし多元的なる世界への参入
第20章 世界のなかの東南アジア地域
地域の概念
グローバルな比較
訳者解説 *完全版はこちら(PDF)
訳 注
参考文献
文献案内
索 引
【上巻目次】
日本語版への序
はじめに
第1章 熱帯湿潤地域の人びと
第2章 風下の地のブッダとシヴァ
第3章 貿易とネットワーク
第4章 都市の発展と世界市場向けの生産 1490-1640年
第5章 宗教革命と近世 1350-1630年
第6章 アジアとヨーロッパの邂逅 1509-1688年
第7章 17世紀の危機
第8章
第9章 中国語化した世界の拡大
第10章 熱帯プランテーションへの道 1780-1900年
第11章 自律性の退潮と最後の抵抗 1820-1910年
訳 注
『世界史のなかの東南アジア』
『世界史のなかの東南アジア』(上巻) アンソニー・リード 著/太田 淳・長田紀之 監訳
訳者解説(完全版)
受 賞
書評等
『社会経済史学』(第88巻第4号、2023年2月、評者:桃木至朗氏)
『史学雑誌』(第131編第11号、2022年11月、評者:大久保翔平氏)
『アジア経済』(第63巻第4号、2022年12月、評者:末廣昭氏)
『図書新聞』(2022年5月28日号、第3544号、評者:大橋厚子氏)
ブックトーク・オン・アジア(第28回(前編)・第29回(後編)、2022年1月26日配信)