2023年度受賞一覧
第56回「安達峰一郎記念賞」
国際法を編む
国際連盟の法典化事業と日本
高橋力也著『国際法を編む』の、第56回「安達峰一郎記念賞」(安達峰一郎記念財団主催)受賞が決定しました。大国中心の法創造プロセスに風穴をあけ、初めて幅広い主体に国際法を開いた国際連盟の法典化事業。特に積極的な貢献をみせた日本を軸に、失敗とされたハーグ会議の意義を再評価、国益の追求にとどまらない法律家の実像を活写し、国際法の歴史を外交史的アプローチもふまえて描き直します。
高橋力也 著
税込9,900円/本体9,000円
A5判・上製・546頁
ISBN 978-4-8158-1111-2 C3032
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第8回(2023年度)「進化経済学会学会賞」
社会をつくった経済学者たち
スウェーデン・モデルの構想から展開へ
藤田菜々子著『社会をつくった経済学者たち』が、第8回(2023年度)「進化経済学会学会賞」(進化経済学会主催)を受賞しました。不況・戦争など直面する危機を乗り越え、福祉先進国の礎を築いた経済学者たち。ケンブリッジ学派と双璧をなしたスウェーデン経済学の全体像を、彼らの政治・世論との深いかかわりとともに初めて解明、福祉国家への合意を導いた決定的役割と、現代におけるその変容までを鮮やかに描き出します。
藤田菜々子 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・438頁
ISBN 978-4-8158-1097-9 C3033
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第5回「井筒俊彦学術賞」
塩と帝国
近代日本の市場・専売・植民地
前田廉孝著『塩と帝国』が、第5回「井筒俊彦学術賞」(慶應義塾大学文学部主催)を受賞しました。帝国日本の経済と生命を支えた一次産品、塩の生産・流通・消費の動態をトータルに解明、植民地塩の内地への浸透プロセスを専売や瀬戸内塩業も視野にとらえて、忘れられた塩の経済圏の全体像を示すとともに、戦後へとつながる食料、資源の対外依存構造のルーツを描き出します。
前田廉孝 著
税込8,800円/本体8,000円
A5判・上製・484頁
ISBN 978-4-8158-1055-9 C3033
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2022年度「日本ドイツ学会奨励賞」
失業を埋めもどす
ドイツ社会都市・社会国家の模索
森宜人著『失業を埋めもどす』が、2022年度「日本ドイツ学会奨励賞」(日本ドイツ学会主催)を受賞しました。失業はいかにして発見され、社会政策の中心課題になったのか。繰り返し大量失業に悩まされたドイツにおいて、都市が国家に先駆けてセーフティネット構築をはかる姿を初めて解明、慈善団体や国家との対抗/連携の過程も鮮やかに捉えて、労働をめぐるモダニティの大転換を、現代も視野に描き出します。
森 宜人 著
税込7,480円/本体6,800円
A5判・上製・396頁
ISBN 978-4-8158-1103-7 C3022
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第44回(2023年度)「アジア経済研究所発展途上国研究奨励賞」
奴隷貿易をこえて
西アフリカ・インド綿布・世界経済
小林和夫著『奴隷貿易をこえて』が、第44回(2023年度)「アジア経済研究所発展途上国研究奨励賞」(ジェトロ・アジア経済研究所主催)を受賞しました。豊かな消費市場として発展を始めたアフリカが、18・19世紀の世界経済の興隆に果たした役割とは。奴隷貿易史観をこえ、現地の動向からインド綿布への旺盛な需要がもたらしたインパクトを実証、グローバル化の複数の起源を解き明かし、西アフリカの人々の主体的活動に新たな光をなげかけます。
小林和夫 著
税込6,380円/本体5,800円
A5判・上製・326頁
ISBN 978-4-8158-1037-5 C3022
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第35回(令和5年度)「矢数医史学賞」
ツベルクリン騒動
明治日本の医と情報
月澤美代子著『ツベルクリン騒動』が、第35回(令和5年度)「矢数医史学賞」(日本医史学会)を受賞しました。欧米では「フィーバーからスキャンダルへ」と化した、コッホによる「結核新治療薬」。日本社会はそれをどのように受け止めたのか。多様な医療雑誌による「情報」の伝達・普及・切り分けを軸に、近代日本の医学・医療の風土が形成される転換期の実相を描き、今日への示唆に富む労作。
月澤美代子 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・504頁
ISBN 978-4-8158-1101-3 C3021
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第113回(2023年度)「日本学士院賞」
近世貨幣と経済発展
『近世貨幣と経済発展』の著者である岩橋勝先生が、第113回(2023年度)「日本学士院賞」(日本学士院)を受賞されることが決定しました。受賞対象となった研究テーマが、本書にまとめられています。【内容】「三貨制」史観を塗り替える画期的労作 ——。小額貨幣の流通は、庶民の生活水準の上昇を示す指標である。銭貨や藩札などの需要面に注目し、多様性とダイナミズムを内包する日本各地の実態を分析、東アジアにおける徳川経済の先進性を実証する。
岩橋 勝 著
税込6,930円/本体6,300円
A5判・上製・456頁
ISBN 978-4-8158-0965-2 C3033
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第39回「大平正芳記念賞 正賞」
南シナ海問題の構図
中越紛争から多国間対立へ
庄司智孝著『南シナ海問題の構図』が、第39回「大平正芳記念賞 正賞」(大平正芳記念財団主催)を受賞しました。中国の急速な台頭により国際政治の焦点となった危機の構造を、主要な当事者であるベトナム・フィリピンやASEANの動向をふまえて解明、非対称な大国と向きあう安全保障戦略をとらえ、米中対立の枠組みにはおさまらない紛争の力学を浮かび上がらせて、危機の行方を新たに展望します。
金子芳樹氏による選評:“…… 本研究の特徴は、第一に、南シナ海問題の起源から現在に至る長期にわたって各主体の視点や動きを幅広く捉え、同問題の全体像を描き出そうとしている点であり、第二に、著者が専門とするベトナムの政治と対外政策を各時期の南シナ海情勢と重ね合わせながら克明に描き、その変化の実態を背景や構造とともに解き明かしている点である。特に後者は、同問題を扱った並みいる類書にはない本書の強みといえる。
著者がとりわけ注目するベトナムは、フィリピンとともに、同海域で中国の脅威をを最も強く受け、かつ時には無力衝突も含めて激しく対抗してきた国である。にもかかわらず、同国の視点から全対象期を通してその対応を捉え、詳しく検証した研究は少ない。本書を読むと、ベトナム外交の思想や政策が南シナ海問題のこれまでの展開に様々な面で重要な影響を及ぼしてきた事実を再発見させられ、同問題の把握にとってベトナムからの視点が不可欠な要素であることを痛感する。
そもそも冷戦後のベトナムの外交・安全保障政策に関して、本書のように具体的対応だけでなく政策決定過程、思想的・内政的背景などを含め、かつベトナム語の史料も豊富に用いながら体系的かつ緻密に分析した研究書は多くない。その面での同書の貢献も評価できる。……”(大平正芳記念財団・事業紹介パンフレットpp.6-7)
庄司智孝 著
税込5,940円/本体5,400円
A5判・上製・344頁
ISBN 978-4-8158-1054-2 C3031
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第39回「大平正芳記念賞 特別賞」
世界史のなかの東南アジア(上下巻)
歴史を変える交差路
アンソニー・リード著『世界史のなかの東南アジア』(太田淳・長田紀之監訳、上下巻)が、第39回「大平正芳記念賞 特別賞」(大平正芳記念財団主催)を受賞しました。世界史を動かし続けた東南アジアを、先史から現代に至る全体史として描くとともに、豊かな多様性を生み出す人びとの姿に迫る決定版。
末廣昭氏による選評:“今回、特別賞(翻訳賞)という範疇のもと大平正芳記念賞の授賞を決定したのは、この上下2冊の本が、原著(2015年)はもとより、日本語版の翻訳書も素晴らしい出来栄えだったからである。…… 何と言っても原著の魅力は、東南アジアを政治・経済・宗教・言語がばらばらで統一性のない地域とはみなさないで、あくまで「独自の地域」であると同時に、無限の多様性に満ちた空間と捉えている点であろう。……
…… 日本語版では訳語にさまざまの工夫がなされている。…… また、巻末には東南アジア史に登場する重要な事件や分析概念(マンダラ国家など)について的確な解説をつけると共に、本文の中にも随所に読者の理解を助ける短い訳注を挿入する。人名、地名もそれぞれの地域の発音に正確に従っており、各国各地域の歴史研究に従事してきた日本人の成果が総動員されていることが推測される。……”(大平正芳記念財団・事業紹介パンフレットpp.12-13)
アンソニー・リード 著
太田 淳・長田紀之 監訳
税込各3,960円/本体各3,600円
A5判・上製・上398頁+下386頁
ISBN 上:978-4-8158-1051-1 下:978-4-8158-1052-8
C3022
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