2002年度受賞一覧
第11回「ピーコ・デッラ・ミランドラ賞」
アリオスト 狂えるオルランド
『アリオスト 狂えるオルランド』(ルドヴィコ・アリオスト 著/脇 功 訳)が、このたび、第11回「ピーコ・デッラ・ミランドラ賞」(イタリア文化会館)を受賞しました。爛熟するルネサンスの想像力が生んだ驚嘆の一大叙事詩であり、悲劇的でありつつもコミカルで、抒情的でありながらも勇壮な――当時のヨーロッパ文学を完成の極致にまで高めた――めくるめく恋と冒険の物語です。
ルドヴィコ・アリオスト 著/脇 功 訳
価格 12,000円
菊判・上製・1,050頁
ISBN 978-4-8158-0407-7 C0098
在庫有り
第56回「毎日出版文化賞」
日本書史
『日本書史』(石川九楊 著)が、このたび、第56回「毎日出版文化賞」(毎日新聞社)を受賞しました。東アジアの文化の根底をなす書は、「孤島」の舞台でいかなる劇を繰り広げたのか? 書を筆蝕の美学と捉える視点から、古代より明治初年までの代表的作品に定着された精神の軌跡を、その表現に即して解明しつつ日本書史の基本像を提示した、著者のライフワークです。
松本健一氏による選評:「具体的分析伴う画期的な文化史」
「『日本書史』は、漢字ではなく、書字を東アジアの文化の根底にとらえ、その「書」の文化が日本でどのような展開をみせたかを説いた、画期的な文化史である。
しかも、その日本の「書」の考察から分かることは—日本書史は中国書史の辺縁にあって、小さく、ささやかで、いくぶん歪んだものである。これは、日本書史が中国文化に途中から入り込み、そうして東アジアのなかでは「いち早く近代化を達成する」ことによって、途中から下車した事情によっている、と。
著者の書史は、具体的な「書」の分析をともなって、鮮やかである。たとえば、頼山陽の「修史偶題」は、江戸時代の「唐様」の第一級品だが、にもかかわらず「ああ日本の書だなァ」とおもわざるをえない。また、幕末の三筆のひとり巻菱湖(まきりょうこ)は、「近代の習字教師の祖」にすぎない、というように。」(松本健一 氏)
石川九楊 著
価格 15,000円
A4判・上製函入・632頁
ISBN 978-4-8158-0405-3 C3071
在庫有り
第14回「アジア・太平洋賞特別賞」
国家と移民
東南アジア華人世界の変容
『国家と移民 -東南アジア華人世界の変容-』(田中恭子 著)が、このたび、第14回「アジア・太平洋賞特別賞」(アジア調査会)を受賞しました。華人移民と国家とのせめぎあいのポリティックスを、シンガポールとマレーシアを中心に、政治的アイデンティティの変容と国民統合の過程に焦点をあてて描き出すとともに、華人をめぐる東南アジア諸国と中国との関係を眼光鋭く分析した労作です。
田中恭子 著
価格 5,000円
A5判・上製・406頁
ISBN 978-4-8158-0436-7 C3036
在庫有り
第92回「日本学士院賞」
修道院と農民
会計文書から見た中世形成期ロワール地方
『修道院と農民 -会計文書から見た中世形成期ロワール地方-』(佐藤彰一 著)が、このたび、第92回「日本学士院賞」(日本学士院)を受賞しました。ヨーロッパ中世世界の成立過程をいかに捉えるか。サン・マルタン修道院会計文書の体系的分析により、この文書がカバーするロワール地方を観察の場とし、史料が語る農村社会の構造と変動の様を介して、古代から中世への移行の様相を初めて具体的に解明した画期的労作です。
佐藤彰一 著
価格 16,000円
A5判・上製函入・784頁
ISBN 978-4-8158-0311-7 C3022
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