2008年度受賞一覧
第5回「日本学士院学術奨励賞」(2008年度)
モンゴル時代の出版文化
小会刊行図書『モンゴル時代の出版文化』の著者である宮紀子先生(京都大学人文科学研究所助教)が、このたび、第5回「日本学士院学術奨励賞」(2008年度、日本学士院)を受賞なさいました。その研究成果が上記の図書にまとめられています。大元ウルス治下の文化政策・出版活動を、書籍・言語・挿絵・地図等に即して再検討し、生命力あふれる時代の文化像を提示する労作です。
選考委員による選評:
「宮 紀子氏は『モンゴル時代の出版文化』等の論著において、北方遊牧民が漢土を支配した大元ウルス時代は、中国文化が破壊された「暗黒時代」ではなかった事実を、豊富な文献資料に基づいて明らかにしました。
宮氏は「上図下文」の版式の下に白話文(口語)で綴られた『孝経直解』が、国家的出版であった事実を明らかにし、この時代にも旧来の儒教や道教が尊重されていた事実を確認しました。また、歴史書『直説通略』を仔細に分析検討して漢民族に固有な「通史」の編纂が続けられていた事実を明示しました。さらに程復心の『四書章図』を例に、一つの著作がどのような経緯で国家の出版物に認定されたかを具体的に論じるほか、科挙再開に伴う当時の教育体制整備の実態を明らかにしました。また、朝鮮王朝の世界最初の世界地図「混一疆理歴代国都之図」成立(1402年)の背景に、大元ウルス時代の豊富な東西地理の知識があったことを立証しました。
宮 紀子 著
価格 9,500円
A5判・上製・716頁
ISBN 978-4-8158-0526-5 C3022
在庫有り
第5回「日本学術振興会賞」(2008年度)
モンゴル時代の出版文化
小会刊行図書『モンゴル時代の出版文化』の著者である宮紀子先生(京都大学人文科学研究所助教)が、このたび、第5回「日本学術振興会賞」(2008年度、日本学術振興会)を受賞なさいました。その研究成果が上記の図書にまとめられています。大元ウルス治下の文化政策・出版活動を、書籍・言語・挿絵・地図等に即して再検討し、生命力あふれる時代の文化像を提示する労作です。
選考委員による選評:
「宮紀子氏は、モンゴル人支配下の中国の文化事象の発掘と再評価を通して、元代を中国伝統文化の破壊の時代とみなす従来の歴史認識を一変させる新たな視点を提示した。
同氏は、元朝モンゴル帝国治下で出版された漢字資料のみならず、絵画や工芸品、またイスラームやアラブ、モンゴル資料を併用する手法で、モンゴル支配圏における人の交流や文化の伝承と創造の実態の解明に大きく寄与した。具体的には、この時代に口語体の小説や戯曲が多数出版され、またモンゴル貴族向けの挿絵入り儒学書が流布したことに着目し、モンゴル朝廷が前代の中国の文化を受け継ぎ、その古典学を保護し、更に発展させて、今日の中国文化の形成に決定的な役割を果たしたことを跡づけた。他方、朝鮮半島や日本を含む東アジアの文化研究を、中央アジアやアラブ・イスラーム方面の研究と関連づける可能性を示した功績も大きい。
今後、中国文化のユーラシア世界への展開と相互交渉へと研究の幅を更に広げることによって、出版文化研究を核とした新たな東ユーラシア文化史を構築することが期待される。」
宮 紀子 著
価格 9,500円
A5判・上製・716頁
ISBN 978-4-8158-0526-5 C3022
在庫有り
第30回「サントリー学芸賞」(芸術・文学部門)
藤田嗣治 作品をひらく
旅・手仕事・日本
『藤田嗣治 作品をひらく −旅・手仕事・日本−』(林 洋子著)が、このたび、第30回「サントリー学芸賞」(芸術・文学部門、サントリー文化財団)を受賞しました。多文化・多分野を越境する創造者・藤田嗣治が放浪のなかで追い求めたものは一体何だったのか?——彼の豊饒な創作活動を徹底的に検証し、これまでの評伝を超え、多数の図版掲載を実現して作品から画家に迫った意欲作です。
林 洋子 著
価格 5,200円
A5判・上製・598頁
ISBN 978-4-8158-0588-3 C3071
在庫有り
第30回「角川源義賞」
徳川後期の学問と政治
昌平坂学問所儒者と幕末外交変容
『徳川後期の学問と政治 −昌平坂学問所儒者と幕末外交変容−』(眞壁 仁 著)が、このたび、第30回「角川源義賞」(角川文化振興財団)を受賞しました。忘却された儒者、古賀家三代の知的・政治的所産を徹底した史料調査により解明。学問所儒者の停滞したイメージを覆すとともに、日本近代外交黎明期の姿を鮮明に描き出し、江戸後期思想史・政治史・外交史の大幅な書き換えを迫る画期的成果です。
眞壁 仁 著
価格 6,600円
A5判・上製・656頁
ISBN 978-4-8158-0559-3 C3031
在庫有り
第6回「德川賞」
徳川後期の学問と政治
昌平坂学問所儒者と幕末外交変容
『徳川後期の学問と政治 −昌平坂学問所儒者と幕末外交変容−』(眞壁 仁 著)が、このたび、第6回「德川賞」(財団法人徳川記念財団)を受賞しました。忘却された儒者、古賀家三代の知的・政治的所産を徹底した史料調査により解明。学問所儒者の停滞したイメージを覆すとともに、日本近代外交黎明期の姿を鮮明に描き出し、江戸後期思想史・政治史・外交史の大幅な書き換えを迫る画期的成果です。
眞壁 仁 著
価格 6,600円
A5判・上製・656頁
ISBN 978-4-8158-0559-3 C3031
在庫有り
第45回「日本翻訳文化賞」
モムゼン ローマの歴史(全4巻)
『モムゼン ローマの歴史』(モムゼン著/長谷川博隆訳)が、このたび、第45回「日本翻訳文化賞」(日本翻訳家協会)を受賞しました。現代ローマ史研究の基礎を築いた碩学が若き才能を注ぎ込んだ歴史の一大傑作にして、ノーベル文学賞を受賞した情熱の書です。雄大な構想と鋭く核心を衝く洞察により、人間の営みの全体 —— 政治から経済、社会、制度、宗教、文学、芸術まで —— を描き出します。全4巻構成、第Ⅰ巻『ローマの成立』、第Ⅱ巻『地中海世界の覇者へ』、第Ⅲ巻『革新と復古』、第Ⅳ巻『カエサルの時代』となっております。
モムゼン 著 長谷川博隆訳
価格 Ⅰ〜Ⅲ:6,000円
Ⅳ:7,000円
在庫有り
2008年「日本公共政策学会賞著作賞」
日本の地方政治
二元代表制政府の政策選択
『日本の地方政治 −二元代表制政府の政策選択−』(曽我謙悟・待鳥聡史 著)が、このたび、2008年度「日本公共政策学会賞著作章」(日本公共政策学会)を受賞しました。比較政治制度論からのアプローチにより、戦後の議会と首長の個別公選制下における地方政府の政策選択の大きな変化を実証、大規模なデータ分析と事例分析をもとに、地方政府の政治的ダイナミクスを描き出します。地方政治論に新たなフロンティアを拓く画期的論考です。
曽我謙悟・待鳥聡史 著
価格 4,800円
A5判・上製・384頁
ISBN 978-4-8158-0571-5 C3031
在庫有り
第25回「田邉尚雄賞」
瞽女と瞽女唄の研究
『瞽女と瞽女唄の研究』(ジェラルド・グローマー 著)が、このたび、第25回「田邉尚雄賞」(財団法人東洋音楽学会)を受賞しました。20年にわたる徹底的な史資料の調査によって実現した、瞽女と瞽女唄をめぐる初の本格的総合研究です。日本各地に活躍した瞽女の社会的あり方を歴史的に明らかにするとともに、瞽女が携わっていた芸能と音楽を多角的に分析しています。
ジェラルド・グローマー 著
価格 30,000円
菊判・上製函入・研究篇778頁/史料篇958頁
ISBN 978-4-8158-0558-6 C3021
在庫有り
第5回「経済学史学会研究奨励賞」
ピグーの思想と経済学
ケンブリッジの知的展開のなかで
『ピグーの思想と経済学 -ケンブリッジの知的展開のなかで-』(本郷 亮 著)が、このたび、第5回「経済学史学会研究奨励賞」(経済学史学会)を受賞しました。ケンブリッジ学派の高峰にして厚生経済学の確立者の人物・思想・経済学を、文献の精査により包括的に捉え、その厚生経済学の真の意義を浮き彫りにするとともに、ケインズとの長年にわたる重層的対立を解き明かすことで、新たなピグー像を提示した力作です。
本郷 亮 著
価格 5,700円
A5判・上製・250頁
ISBN 978-4-8158-0574-6 C3033
在庫有り
第5回「日本独文学会賞」
踊る身体の詩学
モデルネの舞踊表象
『踊る身体の詩学 -モデルネの舞踊表象-』(山口庸子 著)が、このたび、第5回「日本独文学会賞」(日本独文学会)を受賞しました。新しく、根源的なもののイメージとしてのダンス。ダンカンら舞踊家たちと、ニーチェはじめ文学者たちとの交点で、全体性や聖性をめぐる思潮を捉え、20世紀に芸術や運動の一大結節点となった「踊る身体」の宇宙論的表象を読み解いています。
山口庸子 著
価格 5,200円
A5判・上製・390頁
ISBN 978-4-8158-0550-0 C3073
在庫有り
第19回「小泉文夫音楽賞」
瞽女と瞽女唄の研究
『瞽女と瞽女唄の研究』(ジェラルド・グローマー 著)が、このたび、第19回「小泉文夫音楽賞」を受賞しました。20年にわたる徹底的な史資料の調査によって実現した、瞽女と瞽女唄をめぐる初の本格的総合研究です。日本各地に活躍した瞽女の社会的あり方を歴史的に明らかにするとともに、瞽女が携わっていた芸能と音楽を多角的に分析しています。
ジェラルド・グローマー 著
価格 30,000円
菊判・上製函入・研究篇778頁/史料篇958頁
ISBN 978-4-8158-0558-6 C3021
在庫有り