2011年度受賞一覧
第26回 (平成23年度)「冲永賞」
「就社」 社会の誕生
ホワイトカラーからブルーカラーへ
菅山真次著 『「就社」 社会の誕生』 が、このたび、第26回 (平成23年度) 「冲永賞」 (公益財団法人労働問題リサーチセンター) を受賞しました。「サラリーマン」はどのようにして生まれたのか? —— 新卒就職・終身雇用を常識としてきた 「就社」 社会・日本。製造業大企業労働者のキャリアと雇用関係の変遷を辿り、新規学卒市場の制度化過程を検討することで、その成り立ちを解明します。学生の就職活動のあり方が問い直され日本的雇用慣行が終焉を迎えつつあるかにみえる今、必読の書。
菅山真次 著
価格 7,400円
A5判・上製・530頁
ISBN 978-4-8158-0654-5 C3036
在庫有り
第13回 (平成23年度) 「損保ジャパン記念財団賞」
「ボランティア」 の誕生と終焉
〈贈与のパラドックス〉 の知識社会学
仁平典宏著 『「ボランティア」 の誕生と終焉』 が、このたび、第13回 (平成23年度) 「損保ジャパン記念財団賞」 (公益財団法人損保ジャパン記念財団) を受賞しました。人々を社会参加へと枠づける言葉は、どのような政治的・社会的文脈で生まれ、いかなる帰結をもたらしてきたのか。その言葉がまとう形はどのように作動するのか。動員モデルと意味論分析を介して日本におけるボランティア言説の展開をたどり、参加型市民社会のあり方を鋭く問いなおす力作です。
選考理由:
「…… 筆者は、ボランティアあるいは慈善の 「贈与」 が、善意と冷笑が常に隣り合わせであるシニカルな性格を持ち、「肯定と否定」 というパラドキシカルな関係にあるという前提を始点としている。これがどのように克服されうるのかという設問に対して、「ボランティア的なもの」 の言説について知識社会学の手法でもって迫ろうとした。
知識社会学としているが、その対象はまさに社会福祉のフィールドであり、研究素材もそこに深く入り込んでいる。外側からの観察とは言えるが、分析対象となる言説の表出者は、社会福祉の活動に強くコミットしている人々であり、著者自身の立場もそれらの人々に親和的である。また、外部からの観察が持ちがちなシニシズムを超えようとする論考を含んでいる点も高く評価できる。…… (中略) ……
とりわけ第4章での社会福祉協議会のボランティア推進に関する論考、第5章での大阪ボランティア協会の活動などについての 「慰問の兄ちゃん姉ちゃん」 論考、第6章での國士と市民の邂逅等に関する考察は、有償ボランティアの展開などを経て、NPO型・互酬型によって 「贈与」 のパラドックスが終焉に向かうまでを、描ききっている。その力量は一通りでなく、ボランティア運動史の新たな解釈としても高く評価されるであろう。
また、「終焉」 のあとも、贈与の居場所を求め、その矛盾を克服する方向を示唆した終章も、社会学者らしからぬシニシズムを否定するスタンスが伺え、好感が持てるものである。…… (中略) ……
分析対象とした文献資料の範囲は、驚くほど広汎で多種多様であり、「ボランティア」 に関する言説とその動向を、〈贈与のパラドックス〉 〈動員モデル〉 〈民主化要求〉 といった概念を用いて、整理をし直している。このような言説を分析する概念装置の創出という点でも、際だったユニークさがあり、キーワードを駆使し、時代と諸運動にメスを入れる手際も鮮やかである。…… (中略) ……
……抽象的枠組みとそれを用いたマクロな解釈の面白さや対立・矛盾する論点の提示とその移行を描く手法は極めて興味深い。
さらには、ボランティアをめぐる広汎・網羅的な文献資料、インタビュー資料を収集し、一定の枠組みに沿って明快な解釈を施すことによって、ボランティアをめぐるマクロ位相の変化と方向性を記述できた功績は非常に大きい。……」 (第13回 (平成23年度) 損保ジャパン記念財団賞贈呈式パンフレットより)
仁平典宏 著
価格 6,600円
A5判・上製・562頁
ISBN 978-4-8158-0663-7 C3036
在庫有り
第6回 「政治経済学・経済史学会賞」
日本のエネルギー革命
資源小国の近現代
小堀聡著 『日本のエネルギー革命』 が、このたび、第6回 「政治経済学・経済史学会賞」 (政治経済学・経済史学会) を受賞しました。戦後日本の高度成長への道を拓いたエネルギー革命の歴史的意義を、戦前~1960年に至る長期的視野で位置づけ直し、熱管理や臨海開発などの経済政策・企業活動を通じて、資源制約に需要・供給両面から効率的に対応し得た要因を示します。戦後経済史・環境史の理解に新たな扉を開く画期的成果。
小堀 聡 著
価格 6,800円
A5判・上製・432頁
ISBN 978-4-8158-0660-6 C3033
在庫有り
第33回 「サントリー学芸賞」(思想・歴史部門)
科学アカデミーと 「有用な科学」
フォントネルの夢からコンドルセのユートピアへ
隠岐さや香著 『科学アカデミーと 「有用な科学」』 が、このたび、第33回 「サントリー学芸賞」 (思想・歴史部門、サントリー文化財団) を受賞しました。国家による最初の本格的な科学研究機関であるパリ王立科学アカデミーが、科学活動の文化的・社会的な基盤を形成する一方、啓蒙のフィロゾーフの参入によって統治のための科学へと踏み込んでいく過程を、初めて本格的に解明。科学史・社会史・思想史を横断する力作です。
隠岐さや香 著
価格 7,400円
A5判・上製・528頁
ISBN 978-4-8158-0661-3 C3040
在庫有り
第33回「サントリー学芸賞(政治・経済部門)
日中国交正常化の政治史
井上正也著『日中国交正常化の政治史』が、第33回「サントリー学芸賞」(政治・経済部門、サントリー文化財団主催)を受賞しました。「不同意の同意」へと至る20年の交渉を、台湾問題の決定的重要性や国内政治との相互連関を再評価して解明。友好史観、外的衝撃論、「二つの中国」政策論などの通説を正すとともに、激しい外交闘争と和解の模索の両面からその政策過程を捉え直して、歴史的交渉の新たな全体像を描き出します。
井上正也 著
価格 8,400円
A5判・上製・702頁
ISBN 978-4-8158-0653-8 C3031
在庫有り
第24回 「日本産業技術史学会賞」
近代製糸技術とアジア
技術導入の比較経済史
清川雪彦著 『近代製糸技術とアジア』 が、このたび、第24回 「日本産業技術史学会賞」 (日本産業技術史学会) を受賞しました。産業革命を経てアジアに 「里帰り」 した近代製糸技術が、日本・中国・インドで定着してゆく過程を、文献史料や統計データ、現地調査などに基づき総合的に比較分析。市場や企業家精神など技術への適応化を規定する要因を明晰に抽出した労作です。
清川雪彦 著
価格 7,400円
A5判・上製・632頁
ISBN 978-4-8158-0611-8 C3033
在庫有り
第9回 「パピルス賞」
科学アカデミーと 「有用な科学」
フォントネルの夢からコンドルセのユートピアへ
隠岐さや香著 『科学アカデミーと 「有用な科学」』 が、このたび、第9回 「パピルス賞」 (財団法人 関科学技術振興記念財団) を受賞しました。国家による最初の本格的な科学研究機関であるパリ王立科学アカデミーが、科学活動の文化的・社会的な基盤を形成する一方、啓蒙のフィロゾーフの参入によって統治のための科学へと踏み込んでいく過程を、初めて本格的に解明。科学史・社会史・思想史を横断する力作です。
隠岐さや香 著
価格 7,400円
A5判・上製・528頁
ISBN 978-4-8158-0661-3 C3040
在庫有り
第54回 「日経・経済図書文化賞」
「就社」 社会の誕生
ホワイトカラーからブルーカラーへ
菅山真次著 『「就社」 社会の誕生』 が、このたび、第54回 「日経・経済図書文化賞」 (日本経済研究センター) を受賞しました。「サラリーマン」はどのようにして生まれたのか? —— 新卒就職・終身雇用を常識としてきた 「就社」 社会・日本。製造業大企業労働者のキャリアと雇用関係の変遷を辿り、新規学卒市場の制度化過程を検討することで、その成り立ちを解明します。学生の就職活動のあり方が問い直され日本的雇用慣行が終焉を迎えつつあるかにみえる今、必読の書。
菅山真次 著
価格 7,400円
A5判・上製・530頁
ISBN 978-4-8158-0654-5 C3036
在庫有り
第54回 「日経・経済図書文化賞」
日本のエネルギー革命
資源小国の近現代
小堀聡著 『日本のエネルギー革命』 が、このたび、第54回 「日経・経済図書文化賞」 (日本経済研究センター) を受賞しました。戦後日本の高度成長への道を拓いたエネルギー革命の歴史的意義を、戦前~1960年に至る長期的視野で位置づけ直し、熱管理や臨海開発などの経済政策・企業活動を通じて、資源制約に需要・供給両面から効率的に対応し得た要因を示します。戦後経済史・環境史の理解に新たな扉を開く画期的成果。
小堀 聡 著
価格 6,800円
A5判・上製・432頁
ISBN 978-4-8158-0660-6 C3033
在庫有り
第33回 「角川源義賞 [歴史研究部門]」
日本中世社会の形成と王権
上島享著 『日本中世社会の形成と王権』 が、このたび、第33回 「角川源義賞 [歴史研究部門]」 (財団法人角川文化振興財団) を受賞しました。新たな時代たる中世を形づくった巨大な力とは? 唐帝国の衰滅を機に、10世紀から始まる中世社会・王権の形成過程を、政治・宗教文化・社会経済にわたって動態的に描き出し、中世という時代の本質を捉えた画期的な全体史。手堅い史料の読みから数々の創見がほとばしり、歴史像を転換します。
上島 享 著
価格 9,500円
A5判・上製・996頁
ISBN 978-4-8158-0635-4 C3021
在庫有り
第5回 (2011年度) 「企業家研究フォーラム賞 (著書の部)」
「在日企業」 の産業経済史
その社会的基盤とダイナミズム
韓載香著 『「在日企業」 の産業経済史』 が、このたび、第5回 (2011年度) 「企業家研究フォーラム賞 (著書の部)」 (企業家研究フォーラム) を受賞しました。エスニック・マイノリティの経済発展を可能にするものとは何か? 在日韓国・朝鮮人による製造業・土木業・パチンコ産業などへの集中と、迅速な産業転換によるダイナミックな発展過程を、差別など既存の説明を乗り越えて鮮やかに解明、世界的視野で移民の経済理論に新たな展望を拓く力作です。
韓 載香 著
価格 6,000円
A5判・上製・450頁
ISBN 978-4-8158-0631-6 C3033
在庫有り
第64回 「中日文化賞」
フラーレンとナノチューブの科学
『フラーレンとナノチューブの科学』 の著者の一人である篠原久典先生が、このたび、第64回 「中日文化賞」(中日新聞社) を受賞されました。これまで続けてこられた 「ナノカーボン・ハイブリッド物質の創製」 による受賞であり、関連する研究成果が 『フラーレンとナノチューブの科学』 にまとめられています。
(2011年5月3日付 「中日新聞」 より)
“挑戦の成果が産業支える”
「ドイツで参加した国際会議が人生を変えた。忘れもしない1990年9月。最前列に陣取っていた。壇上で、サッカーボール状の炭素粒子 「フラーレン」 の多量合成に成功した研究の発表が始まった。「1世紀に一度の発見。すごいことになる」。背筋が震えた。
予定を取りやめすぐに帰国。研究室の学生たちを集めて宣言した。「今までの研究は全部やめる」。微細炭素 (ナノカーボン) の世界に飛び込んだ。「でも、本当は少しだけ不安だった。若かったからできた」 と笑う。
以来、休みなく研究を続け、フラーレンの内部に金属分子を入れることに成功した。「金属内包フラーレン」 は電気伝導性が良く、磁気共鳴画像装置 (MRI) の造影剤やがんの治療への応用が期待されている。
昨年、ノーベル物理学賞を受賞したのは板状に結びついた炭素粒子 「グラフェン」の研究。フラーレンに似た物質だ。黒鉛の板に粘着テープを張り付けてはがすだけで取り出せる。「炭素研究はお金をかけない簡単な実験からも始まる。エリートでなくても挑戦できる世界。でも、出てきた成果は産業を支えている」。
文化賞受賞を 「国内外の共同研究者と研究室の学生諸君のおかげ」 と喜ぶ。時には高校にも出かけ、科学の魅力を伝える。……」
篠原久典・齋藤弥八 著
価格 4,800円
A5判・並製・372頁
ISBN 978-4-8158-0669-9 C3043
在庫有り