2018年度受賞一覧
第40回「サントリー学芸賞」(政治・経済部門)
パチンコ産業史
周縁経済から巨大市場へ
韓載香著『パチンコ産業史』が、第40回「サントリー学芸賞」(サントリー文化財団)を受賞しました。戦前以来の縁日娯楽はなぜ、30兆円産業となりえたのか。見過ごされてきた周縁経済の躍動を、ホール、メーカー、規制の動向からダイナミックに捉え、「地下経済」論を超えた等身大の姿を浮き彫りにします。産業が存続可能となる条件を新たな視点で照射し、日本経済論の盲点に迫った初の通史。
韓 載香 著
価格 5,400円
A5判・上製・436頁
ISBN 978-4-8158-0898-3 C3033
在庫有り
第40回「サントリー学芸賞」(思想・歴史部門)
イエズス会士と普遍の帝国
在華宣教師による文明の翻訳
新居洋子著『イエズス会士と普遍の帝国』が、第40回「サントリー学芸賞」(サントリー文化財団)を受賞しました。カトリック拡大のため東方に渡った宣教師らが、巨大な清朝に見出したものは何か。中国古来の世界像や学術は、キリスト教の教義や勃興する科学と結びつくのか。共通言語から統治体制や歴史編纂まで、新たな帝国像を描き出した18世紀のアミオを軸に、多言語史料から「文明の翻訳」の実相を捉える力作。
新居洋子 著
価格 6,800円
A5判・上製・414頁
ISBN 978-4-8158-0889-1 C3022
在庫有り
第61回「日経・経済図書文化賞」
経済成長の日本史
古代から近世の超長期GDP推計 730-1874
高島正憲著『経済成長の日本史』が、第61回「日経・経済図書文化賞」(日本経済新聞社・日本経済研究センター共催)を受賞しました。奈良時代~近代初頭にいたる列島経済の展開を一望、最貧国水準を抜け出し、1人あたりGDPが着実な上昇に転じていく過程を、利用可能な数値の精査と多様な文献の活用により、災害・飢饉・環境・都市化なども視野に解明。はじめて日本の超長期GDP推計を実現し、日本史の新たな扉を開きます。
高島正憲 著
価格 5,400円
A5判・上製・348頁
ISBN 978-4-8158-0890-7 C30233
在庫有り
第54回「日本翻訳出版文化賞」
原典 ルネサンス自然学【上下巻】
池上俊一監修『原典 ルネサンス自然学』(上下巻)が、第54回「日本翻訳出版文化賞」(日本翻訳家協会主催)を受賞しました。開かれるミクロコスモス ——。身体から宇宙まで、料理から農事まで、魔術から機械まで、実験から教育まで、驚異から地理まで、計算から原子まで……、本邦初訳テキストと貴重図版により「科学的人文主義」の精華をつたえる待望のアンソロジー。
池上俊一 監修
価格 各9,200円
菊判・上製・上650頁+下656頁
ISBN 上:978-4-8158-0880-8 下:978-4-8158-0881-5
C3010
在庫有り
2018年「パジュ・ブック・アワード著作賞」
モンゴル時代の「知」の東西【上下巻】
宮紀子著『モンゴル時代の「知」の東西』(上下巻)が、2018年「パジュ・ブック・アワード著作賞」(東アジア出版人会議主催)を受賞しました。日本からヨーロッパまで、人・モノ・情報が行き交う ——。世界史上、空前のレベルで展開したユーラシアを貫く「知」の交流。百科事典や辞書・地図から宗教・政治・経済の諸制度まで、モンゴル帝国によるダイナミックな革新と統合の実像を、多言語の文献・美術品・出土文物を駆使して描き出す記念碑的労作。
宮 紀子 著
価格 各9,000円
菊判・上製・上574頁+下600頁
ISBN 上:978-4-8158-0900-3 下:978-4-8158-0901-0
C3022
在庫有り
2018年度(第33回)「大同生命地域研究奨励賞」
『南米キリスト教美術とコロニアリズム』の著者の一人である齋藤晃先生が、このたび、2018年度(第33回)「大同生命地域研究奨励賞」(公益財団法人大同生命国際文化基金)を受賞されることとなりました。ラテンアメリカ地域における異文化交渉の動態的研究が評価され、このたびのご受賞となりました。【本書の内容】植民地美術とは、征服の暴力とともに始まった、文化的他者の間の交渉の産物である。植民地的状況のダイナミズムに根ざした、その特異で複雑な美術のありようを、「混血・融合」の論理を超えて問い直す。現地調査に基づく新資料と多数の貴重な図版による、初の南米植民地美術論。
岡田裕成・齋藤 晃 著
価格 6,600円
菊判・上製・494頁
ISBN 978-4-8158-0556-2 C3071
在庫有り
2018年度(第33回)「大同生命地域研究奨励賞」
『イスラーム主義と中東政治 —— レバノン・ヒズブッラーの抵抗と革命』の著者である末近浩太先生が、このたび、2018年度(第33回)「大同生命地域研究奨励賞」(公益財団法人大同生命国際文化基金)を受賞されることとなりました。シリアやレバノンを中心とした現代中東におけるイスラーム主義思想・運動に関する研究が評価され、このたびのご受賞となりました。【本書の内容】暴力と平和、過激と穏健 —— 真実はどこにあるのか。「自爆テロ」から民主政治まで多様な貌をもつイスラーム主義組織「ヒズボラ」の、知られざる実像を初めて明らかにすることを通して、激動するレバノン政治・中東政治・国際政治のダイナミクスを深部から描きだした気鋭の力作。
末近浩太 著
価格 6,600円
A5判・上製・480頁
ISBN 978-4-8158-0750-4 C3031
在庫有り
第35回「渋沢・クローデル賞本賞」
イエズス会士と普遍の帝国
在華宣教師による文明の翻訳
新居洋子著『イエズス会士と普遍の帝国』が、第35回「渋沢・クローデル賞本賞」(日仏会館)を受賞しました。カトリック拡大のため東方に渡った宣教師らが、巨大な清朝に見出したものは何か。中国古来の世界像や学術は、キリスト教の教義や勃興する科学と結びつくのか。共通言語から統治体制や歴史編纂まで、新たな帝国像を描き出した18世紀のアミオを軸に、多言語史料から「文明の翻訳」の実相を捉える力作。(2018年8月7日付「読売新聞」文化欄に、受賞紹介記事が掲載されました。)
新居洋子 著
価格 6,800円
A5判・上製・414頁
ISBN 978-4-8158-0889-1 C3022
在庫有り
2018年「日本公共政策学会著作賞」
社会科学の考え方
認識論、リサーチ・デザイン、手法
野村康著『社会科学の考え方』が、2018年「日本公共政策学会著作賞」(日本公共政策学会)を受賞しました。学際化がすすむ社会諸学のロジックをいかにして身につけるか。日本で初めて認識論から説き起こし、多様な調査研究手法を明晰に整理して、メソドロジーの全体像を提示します。社会科学を実践するための要諦をつかみ、創造的研究を生み出すための最良のガイドブック。
野村 康 著
価格 3,600円
A5判・上製・358頁
ISBN 978-4-8158-0876-1 C3030
在庫有り
第29回「福岡アジア文化賞 学術研究賞」
『キャッチアップ型工業化論 —— アジア経済の軌跡と展望』などの著者である末廣昭先生が、このたび、第29回「福岡アジア文化賞 学術研究賞」(福岡アジア文化賞委員会)を受賞されました。タイ経済研究を基盤としてアジア全体の工業化や経済実態を解明し、日本のアジア研究の発展に主導的な役割を果たされていること、またアジア研究の組織化や若手研究者の育成でも大きく貢献なさっていることが評価され、このたびのご受賞となりました。
【末廣先生の著書】
『キャッチアップ型工業化論
——アジア経済の軌跡と展望』
『ファミリービジネス論 —— 後発工業化の担い手』
『東アジアの社会大変動 —— 人口センサスが語る世界』(編著)
第12回「日本科学史学会学術賞」
病原菌と国家
ヴィクトリア時代の衛生・科学・政治
小川眞里子著『病原菌と国家』が、第12回「日本科学史学会学術賞」(日本科学史学会)を受賞しました。19世紀に相次いで産声を上げた、公衆保健と実験医学。イギリスでは、前者は数々の施策を経て国家医学から帝国医学へと至り、後者は感染症の病因探求の中で進化論を組み込みながら独自の展開を遂げた。本書はそれらの全体像と相互の関係を初めて示し、社会と医学の関係を問い直します。
小川眞里子 著
価格 6,300円
A5判・上製・486頁
ISBN 978-4-8158-0826-6 C3022
在庫有り
第34回「大平正芳記念賞」
産業化する中国農業
食料問題からアグリビジネスへ
宝剣久俊著『産業化する中国農業』が、第34回「大平正芳記念賞」(大平正芳記念財団)を受賞しました。製造業など工業の高度成長の陰で見過ごされてきた農業。しかしその経済発展を可能にしたのは、飢饉の経験を乗り越えて、厖大な人口への食料供給を実現した農業であった。龍頭企業の台頭など、アグリビジネスでも世界的地位を築きつつある中国農業の現状を、新たな視座で描き出します。
末廣昭氏による選評:“………… 本書で特に印象に残ったのは、第2章の農業調整問題の登場を扱った分析、第4章の農地貸借市場に関する著者オリジナルの分析(浙江省2地域での現地調査)、第7章の山西省の野菜農家の分析などである。いずれも緻密で厳格な計量的手法により分析が進められているが、多数の農民・農村幹部との対話を通じて培った、現場感覚に裏打ちされた優れた実証分析であった。まさしく、地域研究と開発経済学の両方が見事に結合した稀有な研究である。もうひとつは「中国産業化」の捉え方である。農業企業(中国語で龍頭企業)が農業生産・加工・流通を結合することで農業利益を最大化しようとする側面だけでなく、合作社や地方政府を含む多様な主体が、農村の振興や農民の経済的厚生の向上を目指す活動にまで、その定義を広げる視点は、タイのアグリビジネスを研究してきた評者には、新鮮かつ強い共感をいだくアプローチであった。…………” (大平正芳記念財団パンフレット(「第34回 『大平正芳記念賞』 受賞作の紹介」 から)
宝剣久俊 著
価格 5,800円
A5判・上製・276頁
ISBN 978-4-8158-0886-0 C3033
在庫有り
第34回「大平正芳記念賞」
絨毯が結ぶ世界
京都祇園祭インド絨毯への道
鎌田由美子著『絨毯が結ぶ世界』が、第34回「大平正芳記念賞」(大平正芳記念財団)を受賞しました。京都祇園祭の山鉾に飾られている「幻の絨毯」、それは世界とつながっていた。どこで制作され、いつ、どのようにして日本にもたらされたのか。絨毯の特徴やデザインから、国際流通・受容の実態までトータルに解明し、多数の魅力的な図版とともに、日本、インド、ヨーロッパを結ぶ絨毯の道をたどる、美のグローバル・ヒストリー。
黒崎卓氏による選評:“………… 本書は、15世紀頃から現在までの超長期的な時間軸を設定し、世界各地での絨毯調査に基づき、ラホール(北インド、現パキスタン)産とみなされてきた祇園祭の絨毯の多くが、デカン(南インド)産であるという新発見を学界に提示するとともに、その背後にある地域間の移動や循環、相互作用を明らかにした。著者による世界各地での絨毯調査は、材料、デザイン、組織、機能などとその比較に及ぶ丹念・綿密なもので、広範な文献研究とともに充実している。絨毯生産・貿易や利用状況の研究は歴史記述や絵画に描かれた絨毯の検討にも裏づけられ、世界経済史・文化史面での貢献も大きい。グローバルな文化現象の中で絨毯が相対的な希少性と質との関係が日本とヨーロッパでずれていったという指摘も興味深い。本書はまさに、「美のグローバル・ヒストリー」(公刊時の帯に書かれたキーワード)と呼ぶにふさわしい。今後の絨毯研究において必ず参照されるべき基本文献として高く評価できる。加えて、日本の出版文化という点での本書の貢献も特筆に値する。本書には188ものカラー図版と167の白黒挿図が含まれている。これら図版の掲載許可をとるだけでも大変な作業だが、カラー図版は絨毯やそれが描かれた絵画の雰囲気が伝わる素晴らしい出来栄えになっている。美術書の香り伝わる研究書を世に送り出した著者と出版社のチームプレーにも拍手を送りたい。” (大平正芳記念財団パンフレット(「第34回 『大平正芳記念賞』 受賞作の紹介」 から)
鎌田由美子 著
価格 10,000円
A5判・上製・608頁
ISBN 978-4-8158-0855-6 C3072
在庫有り