内 容
植民地美術とは、征服の暴力とともに始まった、文化的他者の間の交渉の産物である。植民地的状況のダイナミズムに根ざした、その特異で複雑な美術のありようを、「混血・融合」の論理を超えて問い直す。現地調査に基づく新資料と多数の貴重な図版による、初の南米植民地美術論。
目 次
序 「植民地美術」を問い直す
第1章 植民地体制下の美術
Ⅰ 南米植民地美術の成り立ち
1 征服の衝撃
2 クスコとリマ —— 植民地的景観の構築と支配者の美術
3 支配者の美術と向き合う先住民社会
4 混血の美術?
Ⅱ 先住民社会の再編成
1 先住民のレプブリカ
2 集住化
3 首長国からレドゥクシオンへ
4 共同体の革命
第2章 植民地的ヴィジョン
—— アンデス聖堂装飾の表象世界
1 先住民の町の聖堂と壁画装飾
2 転倒したエキゾティシズム
3 文化的他者の接触と交渉 ——カラブコの聖堂: 1669~1781
第3章 精神的征服と美術
1 ミッション美術の機能
2 イエズス会ミッションにおける美術制作
3 精神的征服の武器
4 物質と生命
終わりに
あとがき
資料編
1 ペルー
2 ボリビア
3 パラグアイ
4 アルゼンチン
5 ブラジル
注
本文挿図撮影・出典一覧
参考文献
地名索引
人名索引
受 賞
書 評
『歴史学研究』(2009年1月号、第849号、評者:横山和加子氏)
毎日新聞(2007年12月9日付、特集「2007年『この3冊』」、評者:富山太佳夫氏)
『季刊 民族学』(2007年夏号、第121号、著者インタビュー)