内 容
啓蒙の諸理念とフランス革命の政治文化を母体として生まれたフランス自由主義の思想像を、公共圏の樹立を課題とした政治思想として捉え直すことで 一新、チュルゴからコンドルセ、シエース、コンスタン、スタール、ギゾーへと至る自由主義の軌跡を はじめて統一的な視点で描き出した労作。
目 次
序 章 公共性とフランス自由主義
第1章 啓蒙思想と公共空間
はじめに
1 「文芸共和国」から市民的公共性へ —— 予備的考察
2 公共性の啓蒙思想的起源
3 啓蒙期公共性の展開とその諸類型
おわりに
第2章 市民的公共性の創出
——「公論」の誕生と「公論」の思想
はじめに
1 チュルゴ改革と公共表象
2 穀物取引自由化と公共性の思想像
3 コンドルセと「公論」の思想
おわりに
第3章 フランス自由主義の胎動
—— コンドルセと自由の公共空間
はじめに
1 「社会的技術」と「世論」——「公論」の政治秩序と自由
2 文明の政治空間
3 公共空間と自由の政治秩序
4 自由主義の胎動
第4章 フランス革命と公共圏の思想
はじめに —— フランス革命と公共性
1 「公論」と革命
2 「公論」の思想と「公共精神」
3 自由の公共圏への模索
4 「公論」の可能性
第5章 テルミドール派と公共圏
はじめに
1 テルミドール派と「公論」—— 共和政と自由の秩序
2 レドレルと「世論」の構図
3 共和政と公共圏 —— ソフィー・コンドルセの道徳哲学
4 おわりに ——「科学による統治」と「公論」の思想の分裂
第6章 ジェルメーヌ・スタールの自由主義
はじめに
1 共和主義への道
2 公共圏の政治哲学 —— 自由の公共圏の創出
3 公共圏と文学 ——『コリンヌ』の公共性像
4 『ドイツ論』以降の自由主義 —— ナポレオン帝国を前にした自由と公共
おわりに —— 自由の原理から歴史のモラルへ
第7章 バンジャマン・コンスタンと自由主義の成立
はじめに
1 革命家および思想家としてのコンスタン
2 共和主義の政治哲学
3 自由主義の成立 —— 公共圏の政治原理
4 自由主義と公共圏
5 自由のモラル
おわりに
第8章 体制としての自由主義
はじめに —— 復古王政の公共空間
1 体制としての自由主義の成立
2 自由主義体制と公共圏
おわりに
終 章 フランス自由主義の歴史的諸形態
あとがき
註
索 引
受 賞
関連書
『マキァヴェリアン・モーメント』 ポーコック 著/田中秀夫 他訳