内 容
スキャンダラスな公共性 ——。称賛と批判につつまれた「セレブ」とは、現代のメディアが作り上げた虚像なのか、それとも新たな威光の形なのか。王族・政治家から作家・俳優・音楽家まで、近代の始まりとともに生まれた「セレブリティ」の展開をたどり、公共圏が孕むパラドックスを問う。
著者紹介
アントワーヌ・リルティ
(Antoine Lilti)
1972年生まれ。現在、フランス社会科学高等研究院教授。18世紀の社会史・文化史に現代の社会科学的視点を取り入れた斬新な研究で知られる気鋭の歴史学者。本書のほかに、『サロンの世界史』(Le Monde des salons, 2005年)などの著作がある。2006-11年に『アナール』誌の編集長を務めた。
目 次
序 章
第1章 パリのヴォルテール
「ヨーロッパで最も有名な人」
ヴォルテールとジャノ
第2章 スペクタクルの社会
スター誕生 —— 著名性のエコノミー
オペラにおけるスキャンダル
「偶像崇拝的な熱狂」
全ヨーロッパにおよんだ著名性
ファンの創出
第3章 最初のメディア革命
著名性の視覚文化
ミニチュアの公的人物
偶像とマリオネット
「今日のヒーロー」
私生活と公的人物
第4章 栄光から著名性へ
名望のトランペット
新しさはどこにあるのか
著名性
「出る杭は打たれる」
第5章 有名人の孤独
「不幸がもたらす著名性」
友人ジャン=ジャック
特異性、模範、著名性
著名性の重圧
ルソー、ジャン=ジャックを裁く
歪 曲
第6章 著名性の力
モードの犠牲者?—— マリー・アントワネット
革命を呼ぶ人気 —— ミラボー
偉人としての大統領 —— ジョージ・ワシントン
落日の島 —— 晩年のナポレオン
第7章 ロマン主義と著名性
バイロマニア
「信徒を教え導く聖職」—— シャトーブリアン
誘惑された女と公共の女
ヴィルトゥオーソたち
アメリカにおける著名性 —— ジェニー・リンドのアメリカ巡業
民主主義的人気と通俗的王権
時の著名人たち
著名性の新時代に向けて
終 章
謝 辞
訳者あとがき
注
図版一覧
索引
書 評
『西洋史学』(第271号、2021年6月、評者:松浦義弘氏)
『みすず』(2021年1・2月合併号、読書アンケート特集、評者:長谷正人氏)
『みすず』(2020年1・2月合併号、読書アンケート特集、評者:石原千秋氏)
朝日新聞(2019年12月28日付、読書欄特集「書評委員が選ぶ『今年の3点』」、評者:間宮陽介氏)
『歴史学研究』(2019年8月号、第986号、評者:増田都希氏)
『図書新聞』(2019年7月6日号、第3406号、評者:平正人氏)
関連書
『歴史は現代文学である』 イヴァン・ジャブロンカ 著/真野倫平 訳