2009年度受賞一覧
第27回「政治研究櫻田會奨励賞」
国際政治経済学
田所昌幸著『国際政治経済学』が、このたび、第27回「政治研究櫻田會奨励賞」(財団法人櫻田會)を受賞しました。今日の国際政治は経済問題と、国際経済は政治と切っても切れない関係にあります。本書は両者にまたがる広大な領域に挑み、しかもそれを一つの一般理論で切るのではなく、社会科学の古典や歴史的知見に学びながら、多角的な記述とポイントをおさえた資料によって、複雑なリアリティをすくい上げていきます。変動する世界と知的に向き合うための最良の一冊です。
田所昌幸 著
価格 2,800円
A5判・並製・326頁
ISBN 978-4-8158-0587-6 C3030
在庫有り
第36回「大佛次郎賞」
近代書史
『近代書史』(石川九楊 著)が、このたび、第36回「大佛次郎賞」(朝日新聞社)を受賞することが決定しました。東アジアの文化の根幹をなす「書」は、近代にいかなる軌跡をたどったのか? 日本の近代・現代の書の歴史を、専門書道家だけでなく文学者や画家などの知識人の書跡、生活者の日常書字や印刷文字までも含めて、表現された書の丹念な読解により初めて全体として捉えた、絢爛たるライフワークです。
石川九楊 著
価格 18,000円
A4判・上製函入・776頁
ISBN 978-4-8158-0600-2 C3071
在庫有り
第31回「サントリー学芸賞」(思想・歴史部門)
野蛮から秩序へ
インディアス問題とサラマンカ学派
『野蛮から秩序へ -インディアス問題とサラマンカ学派-』(松森奈津子 著)が、このたび、第31回「サントリー学芸賞」(思想・歴史部門、サントリー文化財団)を受賞しました。大航海時代を拓いたスペインにおいて、非ヨーロッパ地域の「野蛮」な人々との関係をめぐり支配の正当性や征服戦争の是非などを問いかけ、新たな政治秩序を模索したサラマンカ学派――ラス・カサスにいたるその思想の展開を丹念に跡づけ、主権国家論に連なる近代の政治思想を見直す力作です。
田中明彦氏(東京大学副学長)による選評:
「……本書は、このグロティウス以前の国際法黎明期に、異質な人々との間に普遍的な国際法を打ち立てようとする真剣な試みがあったことを徹底的に検証した政治秩序論である。近代を主導してきたマキャベリ、ボダン、ホッブズを中心とする政治思潮に比べたとき、サラマンカ学派の考え方に中世的、神学的側面が残ることは否めない。しかし、ビトリアやラス・カサスは、ヨーロッパ内に思考を閉じることなく、異質な人々を包み込む世界全体に通用する法規範・政治原理は何かということを検討しつくした。そこに時代の制約は当然ある。しかし、本書を読むことで、読者は、極めて現代的な国際規範の問題が、近代の冒頭においてスペインで真剣に行われていたことを知るであろう。
著者は、中世から近代にいたるヨーロッパ政治思想の的確な整理を行いつつ、スペイン語の文献も駆使しつつ、サラマンカ学派からラス・カサスに至る議論の展開を体系的に、しかも分かりやすく分析することに成功している。ヨーロッパにおける国際思潮の分析として世界的にみても貴重な分析が、まず日本語で書かれたことを喜びたい。」
松森奈津子 著
価格 5,000円
A5判・上製・392頁
ISBN 978-4-8158-0612-5 C3031
在庫有り
第15回 「連合駿台会学術賞」
戦後アメリカ通貨金融政策の形成
ニューディールから 「アコード」 へ
須藤功著 『戦後アメリカ通貨金融政策の形成』 が、このたび、第15回 「連合駿台会学術賞」 (連合駿台会) を受賞しました。今日的な通貨金融政策への飛躍をもたらした連邦準備制度独立 (=アコード) への道程を、ニューディール銀行制度改革とその課題の克服過程をめぐる新史料から捉え直し、現代の金融革新へと帰結するアメリカ固有の銀行制度の歴史的意義を解明、戦後金融政策史に新たな局面を拓いた労作です。
須藤 功 著
価格 5,700円
菊判・上製・358頁
ISBN 978-4-8158-0584-5 C3033
在庫有り
第4回「政治経済学・経済史学会賞」
近代日本の陶磁器業
産業発展と生産組織の複層性
宮地英敏著『近代日本の陶磁器業』が、このたび、第4回「政治経済学・経済史学会賞」(政治経済学・経済史学会)を受賞しました。近世以来の伝統をもとに多彩な製品群を生み出し、輸出産業化・機械制大工業の成立を経て飛躍的発展を遂げた近代日本の陶磁器業を、瀬戸・東濃・名古屋・京都・有田など主要産地の構造変化を捉えて実証的に描き出し、近代化へと至る多様な発展経路の存在を示した産業史研究の画期的成果です。
宮地英敏 著
価格 6,600円
A5判・上製・404頁
ISBN 978-4-8158-0602-6 C3033
在庫有り
第14回 「日本比較文学会賞」
藤田嗣治 作品をひらく
旅・手仕事・日本
『藤田嗣治 作品をひらく −旅・手仕事・日本−』(林 洋子著)が、このたび、第14回 「日本比較文学会賞」 (日本比較文学会)を受賞しました。多文化・多分野を越境する創造者・藤田嗣治が放浪のなかで追い求めたものは一体何だったのか?——彼の豊饒な創作活動を徹底的に検証し、これまでの評伝を超え、多数の図版掲載を実現して作品から画家に迫った意欲作です。
林 洋子 著
価格 5,200円
A5判・上製・596頁
ISBN 978-4-8158-0588-3 C3071
在庫有り
第26回「渋沢・クローデル賞」ルイ・ヴィトンジャパン特別賞(2009年)
藤田嗣治 作品をひらく
旅・手仕事・日本
『藤田嗣治 作品をひらく −旅・手仕事・日本−』(林 洋子著)が、このたび、第26回「渋沢・クローデル賞」ルイ・ヴィトンジャパン特別賞(2009年度、日仏会館・読売新聞社主催)を受賞しました。多文化・多分野を越境する創造者・藤田嗣治が放浪のなかで追い求めたものは一体何だったのか?——彼の豊饒な創作活動を徹底的に検証し、これまでの評伝を超え、多数の図版掲載を実現して作品から画家に迫った意欲作です。
林 洋子 著
価格 5,200円
A5判・上製・596頁
ISBN 978-4-8158-0588-3 C3071
在庫有り
第26回「大平正芳記念賞」
帝国日本の植民地法制
法域統合と帝国秩序
『帝国日本の植民地法制 −法域統合と帝国秩序−』(浅野豊美著)が、このたび、第25回「大平正芳記念賞」(財団法人大平正芳記念財団)を受賞しました。植民地での居留地・治外法権廃止問題を手がかりに、近代日本が帝国として構築した法システムである帝国法制の起源と展開について初めて本格的に解明したものであり、日本帝国史の新たな全体像を描き出した画期的成果です。
浅野豊美 著
価格 9,500円
A5判・上製・808頁
ISBN 978-4-8158-0585-2 C3032
在庫有り
第38回「吉田茂賞」
帝国日本の植民地法制
法域統合と帝国秩序
『帝国日本の植民地法制 −法域統合と帝国秩序−』(浅野豊美著)が、このたび、第38回「吉田茂賞」(財団法人吉田茂国際基金主催)を受賞しました。植民地での居留地・治外法権廃止問題を手がかりに、近代日本が帝国として構築した法システムである帝国法制の起源と展開について初めて本格的に解明したものであり、日本帝国史の新たな全体像を描き出した画期的成果です。
浅野豊美 著
価格 9,500円
A5判・上製・808頁
ISBN 978-4-8158-0585-2 C3032
在庫有り
2008年度「ドイツ連邦共和国レッシング翻訳賞」
モムゼン ローマの歴史(全4巻)
『モムゼン ローマの歴史』(モムゼン著/長谷川博隆訳)が、このたび、2008年度「ドイツ連邦共和国レッシング翻訳賞」(GOETHE INSTITUT TOKYO主催)を受賞しました。現代ローマ史研究の基礎を築いた碩学が若き才能を注ぎ込んだ歴史の一大傑作にして、ノーベル文学賞を受賞した情熱の書です。雄大な構想と鋭く核心を衝く洞察により、人間の営みの全体 —— 政治から経済、社会、制度、宗教、文学、芸術まで —— を描き出します。全4巻構成、第Ⅰ巻『ローマの成立』、第Ⅱ巻『地中海世界の覇者へ』、第Ⅲ巻『革新と復古』、第Ⅳ巻『カエサルの時代』となっております。
モムゼン 著 長谷川博隆 訳
価格 Ⅰ〜Ⅲ:6,000円
Ⅳ:7,000円
在庫有り
第4回「不動産協会優秀著作奨励賞」
日本不動産業史
産業形成からポストバブル期まで
『日本不動産業史 −産業形成からポストバブル期まで−』(橘川武郎・粕谷 誠編)が、このたび、第4回「不動産協会優秀著作奨励賞」(社団法人不動産協会主催)を受賞しました。日本の都市景観を作り上げ、産業インフラの提供からバブル経済まで、日本の経済活動に多大なる影響を与え続けた重要産業の全体像を鮮明に描き出した画期的通史です。
橘川武郎・粕谷 誠 編
価格 5,500円
A5判・上製・410頁
ISBN 978-4-8158-0568-5 C3033
在庫有り
2009年「日本建築学会賞(論文)」
日本植民地建築論
小会刊行図書『日本植民地建築論』の著者である西澤泰彦先生が、このたび、2009年「日本建築学会賞(論文)」(日本建築学会主催)を受賞なさいました。その研究成果が上記の図書を中心にしてまとめられています。日本帝国の拡大とともに広がった、日本近代建築の忘却された作品群を体系的に展望、建築が植民地支配に果たした役割を余すところなく描き出すとともに、日本近代建築史の強大な欠落を埋め、初めて本格的な歴史的評価を示した注目の研究です。「忘れられたもうひとつの日本近代建築史」 —— かつて東アジア地域において、日本人が展開した建築活動とそれによって生み出された建築とが、多数の図版とともに鮮明に蘇ります。
西澤泰彦 著
価格 6,600円
A5判・上製・512頁
ISBN 978-4-8158-0580-7 C3052
在庫有り
第99回「日本学士院賞」(2009年度)
フランス自由主義の成立
公共圏の思想史
『フランス自由主義の成立 −公共圏の思想史−』(安藤 隆穂著)が、このたび、第99回「日本学士院賞」(2009年度、日本学士院)を受賞することが決定しました。公共圏の樹立を課題とした政治思想としてフランス自由主義を根底から捉え直し、その発展を鮮やかに描き出した労作です。
選考委員による選評:
「大革命を控えたフランス社会には、それを近代化しようとする様々な思想がありましたが、安藤隆穂氏は著書『フランス自由主義の成立−公共圏の思想史』(名古屋大学出版会、2007年2月)において、その様々な思想の中でアダム・スミスの二つの主著すなわち『道徳感情論』と『国富論』が、同時に一体として受容されていたことに注目しました。分業と相互同感によって統合される自由な小生産者の社会としてのスミスの文明社会は、受容の過程で、一方では教育論や奴隷論などによって社会的内容が豊かになり、他方ではイギリスから言論の自由、ドイツから感情的接触という二つの個人統合の原理を学びとって、生活中心の小市民自由主義というフランス特有の自由主義思想を生み、底流として今日に至ると安藤氏は論じています。
このようなフランス自由主義の性格規定は、同氏の国際的な視野と学際的な研究方法と緻密な文献考証によって初めて可能になったものであり、本国フランスにも例を見ない、日本から国際的に発信すべき近代社会思想史研究の成果です。」
安藤隆穂 著
価格 5,700円
A5判・上製・438頁
ISBN 978-4-8158-0557-9 C3030
在庫有り