内 容
日本帝国の拡大に伴って広がった、日本近代建築の忘却された作品群を体系的に展望、各地域における建築史的位置づけの基礎データを提供するとともに、建築が植民地支配に果たした役割を余す所なく描き出す。日本近代建築史の巨大な欠落を埋め、初めて本格的な歴史的評価を示した労作。
目 次
大連・ソウル・台北市街図
序 章 植民地建築とは何か
1 本書の意義と目的
2 支配形態と「海を渡った建築家」
3 既往の研究と本書の構成
第1章 植民地の政治と建築
1 支配機関の設立と支配における官民
2 支配機関と建築組織の形成
3 支配の拠点としての官衙建築
第2章 植民地の経済と建築
1 植民地銀行と建築
2 国策会社と建築 —— 満鉄と東拓
3 建築投資と支配
第3章 植民地の社会と建築
1 植民地の生活インフラと建築(1)—— 学校・病院・公会堂・倶楽部
2 植民地の生活インフラと建築(2)—— 図書館・博物館・美術館・駅
3 植民地での消費・娯楽と建築 —— 百貨店・劇場・ホテル
第4章 建築活動を支えたもの
1 建築技術の適応と発展
2 技術者・労働力の確保と監理
3 材料の確保 —— 煉瓦・セメントの生産と移動
4 建築規則 —— 不燃化・衛生・都市景観の形成と支配
第5章 世界と日本のはざまの建築
1 植民地における建築家の移動
2 建築情報の移動
3 日本および東アジア地域の建築との共通性・相違性
4 世界建築としての位置付け
終 章 日本植民地建築の過去・現在・未来
1 王道と覇道 —— 建築の果たした役割
2 遺物と遺産 —— 植民地建築の今後
注
巻末資料
あとがき
図表一覧
索 引
受 賞
書 評
『みすず』(2009年1・2月合併号、特集「2008年読書アンケート」、評者:五十嵐太郎氏)
『近現代東北アジア地域史研究会ニューズレター』(第20号、2008年12月、自著紹介)