内 容
ケンブリッジ学派の高峰にして厚生経済学の確立者ピグー —— この冷遇されてきた経済学者の人物・思想・経済学を、文献の精査によって包括的に捉え、その厚生経済学の真の意義を浮き彫りにするとともに、ケインズとの長年にわたる重層的な対立を解き明かすことで、新たなピグー像を提示した力作。
目 次
序
凡 例
第1章 人 物
1 教授就任まで
2 ケンブリッジ大学経済学教授
3 第一次大戦とその後
4 隠遁と「ケインズ革命」
5 山への情熱
補論 戦争はなぜ起こるのか
第2章 初期ピグーの思想
1 シジウィックとピグー
2 ムーア主義 —— 目的と手段
3 「善」の問題
4 「福音書の倫理学」と「ニーチェの倫理学」
5 まとめ
補論 願望の多様性
第3章 初期ピグーの経済学
1 リベラル・リフォーム
2 失業論へ
3 戦前の景気循環論の諸相
4 産業平和論
5 社会保険と公的扶助
6 まとめ
第4章 雇用理論(1) 産業変動論
1 賃金財基金説
2 「湖」の喩え
3 乗数論
4 まとめ
第5章 ピグーの長期とケインズの短期
1 遺伝と環境
2 世代間正義
3 ピグー、ラムゼー、ケインズの三角関係
4 ケインズのエセ道徳原理批判
5 まとめ
1 社会主義論 —— マーシャル、ピグー、ケインズ
2 政治過程論
3 市民的能動性 ——「貨幣の私的使用」と「雇用者と経済騎士道」
4 ロビンズの批判 —— 旧厚生経済学は乗り越えられたか
5 ピグー厚生経済学の体系
第7章 財政論
1 財政学史上のピグー
2 租税制度の展開
3 1920年代の正統財政と資本課税論
4 所得税と人的資本論
5 相続税と土地税
6 まとめ
第8章 雇用政策 —— ピグー神話
1 戦間期のイギリス経済
2 「戦後の労働諸問題」
3 新しいタイプの失業
4 1925年の金復帰
5 経済学者委員会
6 まとめ
第9章 雇用理論(2) 賃金政策論
1 逆L字形労働供給曲線
2 『失業の理論』と自然失業率論
3 『一般理論』のピグー批判 —— わら人形の形成
4 まとめ
終 章 ピグーから眺めた「ケインズ革命」
1 「革命」の重層構造(1)—— 最後の審判
2 「革命」の重層構造(2)—— ムーア主義の経済学
3 『雇用と均衡』
4 『ケインズ一般理論の回想』
あとがき
注
ピグー著作目録
参考文献
人名索引
受 賞
書 評
関連書
『ピグー 富と厚生』 A.C.ピグー 著/八木紀一郎 監訳/本郷 亮 訳
『ハイエク、ハイエクを語る』 S. クレスゲ 他著/嶋津 格 訳