内 容
新しく、根源的なもののイメージとしてのダンス。—— ダンカンやヴィグマンら舞踊家たちと、ニーチェ、リルケからユダヤ系女性詩人にいたる文学者たちとの交点で、言語と身体、全体性や聖性をめぐる想像力の爆発的展開を捉え、20世紀にさまざまな芸術や運動の一大結節点となった「踊る身体」の宇宙論的表象を読み解く。
目 次
序 章 モデルネの踊る身体
—— 理論的前提
1 〈危機〉の言説と身体言語の再発見
2 踊る神 —— 全体性の喪失と舞踊表象
3 ノモス・カオス・コスモスと舞踊の身体の特性
4 カオス的舞踊、コスモス的舞踊、遊戯 —— 舞踊表象の3つのタイプ
5 ジェンダーおよびジャンル間のヒエラルキー
6 モダンダンスと身体文化
7 本書の構成
第Ⅰ部 文学における舞踊表象の類型
第1章 カオスの創出と遊戯
—— ニーチェ
1 ニーチェとモダンダンス
2 カオス的な舞踊 ——『悲劇の誕生』
3 舞踊表象の変化
4 遊戯の舞踊 ——『ツァラトゥストラはこう語った』
第2章 小コスモスの生成
—— リルケ
1 ニーチェの影響と、ニーチェとの相違
2 リルケと舞踊
第Ⅱ部 文学と舞踊の交点
第3章 比類なき身体
—— ホーフマンスタールの舞踊評論
1 ルース・セント・デニスの『ラーダー』
2 語り得ぬ身体
3 踊る身体の両義性
4 オリエンタリズムと文化混淆
5 非女性的な女性
第4章 語る身体
—— メアリー・ヴィグマンの舞踊詩
1 ヴィグマンにおける身体と言語
2 改革運動の諸潮流
3 『生の七つの踊り』
4 ヴァイマル時代のダンスの流行と新しい女性
5 死の舞踊 ——『トーテンマール』
6 ナチス体制下の舞踊
第Ⅲ部 ユダヤ系女性詩人における舞踊表象
第5章 遊戯するオリエント
—— エルゼ・ラスカー=シューラー
1 エルゼ・ラスカー=シューラ― —— モデルネの代表的芸術家
2 ラスカー=シューラ―の生涯
3 初期のラスカー=シューラ―と改革運動
4 傷を負った身体
5 遊戯の詩学 ——『ノルウェーへの手紙』
6 テーマパークでの踊り —— オリエンタリズムのパロディー化
7 中期以降のラスカー=シューラ―と改革運動
8 ネズミたちの踊り —— ファシズムの表象
第6章 絶えざる変身
—— ゲルトルート・コルマル
1 ゲルトルート・コルマルとは誰か
2 コルマルと舞踊
3 踊る衣装 ——「薔薇の踊り」
4 敗者の舞踊
5 ファシズムへの抗議 ——「蛇の唄」
第7章 壊れたノモスとコスモスの幻影
—— ネリー・ザックス
1 第二次大戦までのネリー・ザックス
2 閃く宇宙 —— 第二次大戦後の舞踊表象
あとがきに代えて —— 新しく、根源的な身体
注
参考文献
図版出典一覧
索 引
受 賞
書 評
『ドイツ文学』(第136号、2008年3月、評者:大貫敦子氏)
『ワセダ・ブレッター』(第15号、2008年3月、評者:岡田素之氏)
『ナマール』(第12号、2007年11月、評者:細見和之氏)