内 容
失業はいかにして発見され、社会政策の中心課題になったのか。繰り返し大量失業に悩まされたドイツにおいて、都市が国家に先駆けてセーフティネット構築をはかる姿を初めて解明、慈善団体や国家との対抗/連携の過程も鮮やかに捉えて、労働をめぐるモダニティの大転換を、現代も視野に描き出す。
目 次
序 章 失業の再埋め込みと都市ガバナンス
第Ⅰ部 社会都市の時代
第1章 「都市の社会的課題」とはなにか
—— 社会都市形成の規範理念
はじめに
1 社会都市の形成
2 市民的社会改良運動と社会政策学会
3 「都市の社会的課題」
4 「都市の社会的課題」としての労働者保護
小 括
第2章 失業者救済は「都市の社会的課題」か
—— 失業保険の主体をめぐって
はじめに
1 都市失業保険の展開
2 模索する大ベルリン
3 ドイツ都市会議の「失業保険に関する綱領」
4 大ベルリンにおける帰結
小 括
第3章 エピデミックによる失業の「発見」
—— 民間慈善と職業紹介
はじめに
1 ハンザ都市の世紀転換期
2 コレラ大流行と職業紹介
3 公共職業紹介システムの展開
4 女性労働市場への進出
小 括
第Ⅱ部 総力戦体制と社会国家の成立
第4章 相反する「城内平和」理念
—— 戦時失業扶助をめぐる公私の交錯
はじめに
1 総力戦体制と失業問題
2 ハンブルク戦時救済(HK)の発足と失業扶助
3 戦時失業扶助の展開と職業紹介システムの再編
4 公的失業者救済への道
小 括
第5章 社会都市から社会国家へ
—— ライヒ失業扶助の展開
はじめに
1 ライヒ失業扶助の導入
2 ハイパーインフレと大量失業
3 ライヒ扶助義務令と都市自治体
4 合理化による構造的大量失業
小 括
第Ⅲ部 危機下の社会国家と都市自治体
第6章 中央集権化に抗って
—— ライヒ失業保険の「破綻」がもたらしたもの
はじめに
1 ライヒ失業保険と都市自治体
2 ライヒ失業保険の「破綻」
3 ライヒ公団『報告書』をめぐる相克
4 ドイツ都市会議の新ライヒ失業扶助構想
小 括
第7章 労働の「社会的・倫理的課題」
—— 雇用創出をめぐるポリティクス
はじめに
1 労働力の活用と社会衛生学
2 労働扶助・義務労働の展開
3 ライヒ雇用創出政策の影響
4 メイクシフト・エコノミーの諸相
小 括
終 章 「長い20世紀」における失業の再埋め込み
あとがき
注
参考文献
図表一覧
人名索引
事項索引
受 賞
書 評
『西洋史学』(第277号、2024年6月、評者:福澤直樹氏)
『現代史研究』(第69号、2023年12月、評者:中野隆生氏)
『社会経済史学』(第89巻第4号、2024年2月、評者:加来祥男氏)
『大原社会問題研究所雑誌』(第783号、2024年1月、評者:坂井晃介氏)
『週刊読書人』(2023年4月14日号、第3485号、評者:本内直樹氏)
『週刊社会保障』(2023年2月27日号、第3208号、評者:川久保寛氏)
『図書新聞』(2023年4月8日号、第3586号、評者:森周子氏)