内 容
グローバル時代の社会的基盤とは ——。相互依存の深まる東アジアでは地域全体の福祉拡充が緊要となっている。福祉国家と企業福祉・家族福祉・ボランタリー福祉の関係をいかに結びなおすべきか。歴史も経済も多様な東アジア諸国間で国際協力は可能なのか。比較研究から新時代への提言を試みる。
目 次
序 章 福祉のアジアを描く
第Ⅰ部 対象と方法
第1章 東アジアの福祉国家
—— 研究対象の生成
1 はじめに
2 東アジアの共通性と多様性
3 民主化と経済危機を越えて
4 福祉国家と市民社会の未来
第2章 東アジアの福祉レジームとガバナンス
1 はじめに
2 福祉国家のレジーム規定力
3 福祉国家と企業・家族・NPO
4 福祉ガバナンスの未来
第3章 大陸間比較から見た東アジアの福祉
1 はじめに
2 福祉国家化の波
3 福祉国家の何を重視するか
4 企業や家族は福祉国家を代替するか
5 福祉国家拡充の壁
第Ⅱ部 典型としての台湾
第4章 台湾の政労使関係と社会政策
1 はじめに
2 認識手段としてのコーポラティズム概念
3 国家コーポラティズムの遺産
4 民主化と多元主義化
5 新たなコーポラティズムへの模索
6 柔軟化は阻止されたのか
第5章 台湾の高齢者福祉政治
1 はじめに
2 高齢期を規定する社会構造
3 福祉政治の言説スタイル
4 国民年金をめぐる政策過程
第6章 台湾の社会保障と企業福祉
1 はじめに
2 企業を取り巻く社会保障制度
3 2006年調査の回答企業の特徴と企業福祉観
4 企業福祉の内容
5 企業福祉重視の内実 —— 経営者への聞き取り調査から
6 福祉レジームの再編と市場化の進展
第Ⅲ部 複数の東アジア
第7章 社会福祉のなかの社会と国家
—— 台湾・シンガポールの比較
1 はじめに
2 市民社会への注目
3 福祉国家の相違
4 福祉レジームの効果
第8章 雇用構造と若者の就業
—— 日本・韓国・台湾の比較
1 はじめに
2 福祉レジームと若年労働市場
3 日韓台の若者問題は同じではない
4 社会経済的要因か、それとも制度的要因か
5 構造変化にどう対応するか
第Ⅳ部 比較から構想へ
第9章 東アジア社会政策を構想する
—— 失業保険制度を例に
1 はじめに
2 東アジアの失業新時代
3 途上国に失業保険は不要なのか
4 既存の失業保険に不備はないか
5 国際比較から政策構想へ
第10章 インフォーマル雇用の壁を越える
—— 社会保障拡充の前提
1 はじめに
2 インフォーマル雇用とは何か
3 社会保障とインフォーマル雇用
4 社会保障拡充の処方箋
終 章 福祉のアジアを築く
1 福祉のアジアをめぐる問答
2 グローバル経済の社会的基盤
あとがき
参考文献
初出一覧
図表一覧
索 引
受 賞
書 評
『大原社会問題研究所雑誌』(第715号、2018年5月、評者:相馬直子氏)
『社会政策』(第8巻第2号、2016年10月、評者:鍾家新氏)
『アジア経済』(第57巻第2号、2016年6月、評者:李蓮花氏)
『福祉社会学研究』(第13号、2016年6月、評者:下平好博氏)
『中京大学社会学研究科社会学論集』(第15号、2016年3月、評者:相澤真一氏)