内 容
建国60年、改革開放30年の激動をへて世界有数の大国へと変貌した中国。毛沢東から胡錦濤へと至る政治の巨大な変容を、長年の研究により包括的に叙述、かつてない繁栄を迎えたかに見える大国の新たな肖像を描きだす。第一人者による最も信頼の厚い解説書、大幅改訂による待望の最新版。
目 次
序 章 現代中国への新たなアプローチ
1 現代中国の研究 —— 8つのアプローチ
2 パラダイムの転換は可能か
3 挑戦その1: 三元構造論
4 挑戦その2: 比較のなかの中国、中国の「アジア化」
5 挑戦その3: 制度化の視点
第Ⅰ部 現代中国60年の政治プロセス
第1章 毛沢東時代の政治プロセスと毛型リーダーシップ
1 社会主義の選択 —— 過渡期の総路線
2 社会主義の国家機構 —— 全国人民代表大会と憲法
3 中国共産党八回党大会
4 百花斉放・百家争鳴から反右派闘争へ —— 毛沢東型社会主義その1
5 大躍進運動 —— 毛沢東型社会主義その2
6 文化大革命 —— 毛沢東型社会主義その3
7 毛沢東思想と毛ドクトリン
8 毛沢東型リーダーシップ
第2章 鄧小平時代の政治プロセス —— 脱社会主義の道
1 脱文化大革命、脱毛沢東
2 政治改革の論議と実際
3 天安門事件
4 鄧小平「南巡談話」と社会主義市場経済
5 鄧小平のリーダーシップ
第3章 ポスト鄧小平時代の政治プロセス
—— 資本主義への道
1 江沢民・朱鎔基体制10年の評価
2 中国政治の転生 ——「三つの代表」と憲法改正
3 民主なき「自由化」—— 胡錦濤・温家宝体制
4 ポスト鄧小平時代のリーダーシップ
第Ⅱ部 中国の国家・党・軍隊
第4章 国家の制度とその機能
1 中国政治の三つのアクター
2 全国人民代表大会の職権と構成
3 議行合一の理論と実際
4 国家主席と最高国務会議
5 選挙システム
6 協商政治のメカニズム
7 国家統合をめぐって
8 脆弱な辺境 —— 新疆・チベット
第5章 党・国家・軍三位一体のなかの共産党
1 党の指導性 —— 憲法などから
2 党の機構および構成メンバー
3 党と国家の関係 —— その1 党グループについて
4 党と国家の関係 —— その2 党の対口部について
5 党と国家の関係 —— その3 党が幹部を管理する
第6章 政治的軍隊 —— 人民解放軍
1 革命軍か国防軍か、党軍か国軍か
2 党と軍の関係 —— その1 文化大革命と軍
3 党と軍の関係 —— その2 中央軍事委員会について
4 市場化のなかの解放軍
第7章 党と国家の政策形成のメカニズム
1 中央工作会議 —— 毛沢東時代の政策形成
2 危機の政策決定 —— 89年天安門事件
3 重要文書作成から見た常時の政策形成 —— 趙紫陽時期と江沢民時期
4 ネット時代の政策形成
第Ⅲ部 変わる中国、変わらない中国
第8章 大変身する共産党 —— エリートの党へ
1 2010年末の中国共産党
2 進む社会の両極化
3 新アクター —— 私営企業家の登場
4 補論 —— 政治的データにかかわる問題
第9章 陳情の政治学 —— 圧力型政治体系論から
1 陳情とは
2 陳情の問題性
3 陳情の解明 —— 圧力型政治体系論から
4 圧力型政治体系
5 集団的騒擾事件
第10章 比較のなかの中国政治
1 リーダーシップとレジーム
2 民主主義パラダイム
3 民主主義者たち
4 人権と法
終 章 「中国モデル」をめぐって
1 グローバル中国
2 改革開放30年間で実現したもの
3 潘維の「中国モデル」論
4 むすび —— 展望に代えて
5 補論 —— 重慶事件の意味するもの
あとがき
中国政治略年表 1949~2011
参考文献・使用文献リスト
図表一覧
事項索引
人名索引
書 評
『週刊 エコノミスト』(2012年9月11日号、評者:田代秀敏氏)