内 容
歴史的大転換、そして多様なる資本主義へ。—— 中国やヴェトナム、ロシアや中東欧など諸国の比較にもとづき、社会主義の理念と現実、崩壊の理論的根拠、体制移行の戦略と過程、結果と評価、さらには民営化と腐敗の問題や、今後の行方まで、第一人者が幅広い視角から移行20年を徹底検証。
目 次
まえがき
第1章 体制移行とは:いくつかの概念的枠組み
はじめに
1 歴史的大転換としての体制移行
2 体制移行と経済発展
3 体制移行を学ぶ意味について
コラム1 体制移行と体制転換
第2章 体制移行の歴史的背景
はじめに
1 社会主義の理想像
2 ロシア革命と国家社会主義
3 戦後社会主義の波及
4 理想と現実のギャップ
5 計画化の実態
6 体制内改革の試み
7 体制移行前の経済的低迷
コラム2 ロシア革命に対する評価:E.H.カーと渓内謙
第3章 体制移行の理論的根拠
はじめに
1 体制移行の原因をめぐって
2 体制内改革:構想の失敗と欠陥
3 体制の持続可能性
4 社会主義経済計算論争
5 計画化モデルの現実的操作性
6 2つの経済体制:資本主義・社会主義収斂論
7 体制移行の蓋然性
コラム3 「市場社会主義論」:ミラーとローマー
第4章 体制移行の過程
はじめに
1 体制移行の契機
2 ショック療法と漸進主義(1):政策的展開の違い
3 ショック療法と漸進主義(2):哲学的、思想的違い
4 ショック療法と漸進主義(3):理論的考察
5 ショック療法と転換不況
6 中国における移行戦略の特徴:増分主義と「計画からの成長」
7 政策順序(シークエンシング)をめぐって
コラム4 ブルスとコルナイ
第5章 体制移行の結果
はじめに
1 体制移行は何をもたらしたのか:経済実績の比較
2 成長パフォーマンスの決定要因
3 制度改革の進展
コラム5 体制と環境問題
第6章 民営化の経済学
はじめに
1 なぜ民営化か
2 民営化のタイプ
3 民営化の経済学的背景
4 民営化の進展
5 民営化の効果にかんする実証研究
6 民営化に対する国民的評価:ロシアの「強盗資本主義」と中国の
「官製資本主義」
7 民営化、市場化、制度化
コラム6 民営化と私有化:国鉄の「民営化」を中心に
第7章 体制移行と腐敗
はじめに
1 腐敗とは何か
2 体制移行と腐敗
3 腐敗現象の経済理論的分析
4 腐敗の効果と要因:腐敗にかんする実証的計量分析(サーベイ)
5 抑止、軽減のための政策
コラム7 レフ=ハンチントン仮説とミュルダールの「軟性国家」論
第8章 体制移行の評価
はじめに
1 体制移行をどう評価するか
2 LiTSから見られる人々の体制移行評価
3 他の世界的規模の調査から
4 意識調査から窺えるもの
5 中国と中欧
コラム8 革命と人的犠牲:毛沢東とスターリン
終 章 資本主義に向かって脱走する移行経済国
はじめに
1 移行の終焉?
2 多様なる資本主義
3 2つの経済思想
4 中国の「社会主義市場経済論」
コラム9 イースタリー対サックス
補論1 社会主義経済計算論争再考:ランゲとハイエク
補論2 体制移行の分類学
補論3 腐敗の測定と各種データ
参考文献
あとがき
人名索引
事項索引