内 容
ソ連解体からエリツィンを経てプーチン体制へ、未曾有の経済危機から新興国へと成長したロシア経済を、資源のみならず、独自のガバナンスの重要性に着目して包括的に叙述、移行経済におけるインフォーマルな国家・企業間関係の決定的意味を捉え、ロシア型資本主義の特質に迫る。
目 次
序 章 ロシア型資本主義への道
第Ⅰ部 経済の体制転換とロシア企業の発展
第1章 ロシア企業の成立過程と成長条件
はじめに
1 ロシアの企業組織に関する分析視角 —— 企業とは
2 「ソ連型企業」は「企業」ではないのか
3 「資本主義企業」転換への課題
おわりに
第2章 ロシア経済のインフォーマル・メカニズム
はじめに
1 ロシアの見えない掟 ——「インフォーマル」とは
2 企業統治に関するインフォーマル・メカニズム —— 1990年代の展開
3 ロシアにおけるコーポレート・ガバナンスと法の支配
おわりに
第Ⅱ部 市場経済化政策とロシアの資本主義化
第3章 計画経済から市場経済へ
—— 新たな企業家の生成と企業グループの誕生
はじめに
1 ソ連型企業の私有化・民営化とその評価
2 大企業グループの誕生
3 「ビジネスエリート」としての企業家の生成
おわりに —— エリツィン時代のオリガルヒからプーチン時代へ
第4章 ロシア新興財閥の成長
—— エリツィン時代
はじめに
1 ユーコス —— 整合的な垂直統合石油企業の形成
2 シバール(ルサール)—— 地方のアルミニウム工場から世界的企業へ
3 ノリリスク・ニッケル —— 国家コンツェルンからの発展
おわりに
第Ⅲ部 ロシア型国家資本主義の台頭
第5章 進む戦略的分野の国家主導
はじめに
1 資源開発における国家と企業
2 資源の国家管理をめぐる利害関心
3 戦略産業のコントロール
おわりに —— 戦略的分野の国家管理
第6章 ロシア新興財閥の変容
—— プーチン時代
はじめに
1 「ユーコス事件」と国家と企業
2 ノリリスク・ニッケルをめぐる攻防 —— ルサールとの争い
3 「プーチン社長」と「ロシア株式会社」
おわりに
第7章 経済の国家関与強化と企業システムの発展
はじめに —— プーチン時代の「国家資本主義」
1 経済への国家関与
—— プーチン-メドヴェージェフ双頭体制から第二次プーチン政権へ
2 政府系企業の躍進 —— ガスプロムとロスネフチ
3 国家主導型資本主義への動き —— 国策会社の創設へ
おわりに
終 章 変わるロシア、変わらないロシア
参考文献
あとがき
図表一覧
人名索引
事項索引
書 評
『社会経済史学』(第84巻第2号、2018年8月、評者:雲和広氏)
『アジア経済』(第58巻第1号、2017年3月、評者:中兼和津次氏)