内 容
ソ連の崩壊によるロシア史への新たな関心の高まりのなかで、ロシアを含め各国でもっとも支持された名著。該博な知識にもとづく的確な問題把握とトータルな叙述によりロシア史の理解を一新、汎ヨーロッパ的視点に立ち、紀律国家の展開による近代化の姿を輪郭あざやかに描き出す。
著者紹介
マルク・ラエフ
(Marc Raeff)
1923年、モスクワで生まれる。コロンビア大学名誉教授。欧米のロシア近世史研究の大家。本書は、彼の学問のエッセンスを蒸留したロシアの通史で、英語、伊語、露語に翻訳され、時が経つごとに声価を高めている。本書の他に、ロシア・インテリゲンチヤを扱った名著の誉れ高き Origins of Russian Intelligentsia, The Eighteenth-Century Nobility(1966)がある。
(所属等は本邦訳刊行時のものです)
目 次
第1章 背景としてのモスクワ大公国
国家と教会の共生
ツァーリの正統性
行政の機能
国家勤務の普遍的性格
地方行政
社会の隷従化
モスクワ社会を脅かす危険
モスクワ大公国社会の崩壊の要因 —— 古儀式派
反 乱
外国の輸入物
聖職者
エリートと民衆との間の亀裂
西ヨーロッパが提起したモデル
モスクワ大公国の社会の受容能力
第2章 ピョートルの革命
中間団体
国家勤務
1720年の一般条例
権力の正統性
社会の変革
エリートのヨーロッパ化
第3章 困難な状態におかれたピョートル大帝のシステム
文化・教育政策
陸軍幼年学校
教 育
聖職者
統治システム
社会的可動性
民衆文化の隔離
不安の感情
1730年の危機
心理的不安
第4章 ピョートル・システムを改革する?
1767年の立法大委員会
エカチェリナ2世の行政政策
エカチェリナ2世の外政
貴族と都市への恵与状
司法権力
文化生活
インテリゲンチヤの萌芽
第5章 19世紀はじめに
中央行政の改組
地方行政の改革
経済的、社会的施策
法典の必要性
改革政策への抵抗
元老院
宮 廷
市民社会の発展
教 育
文学サークルと哲学サークル
社交生活
民衆の発見
市民社会は積極的な役割をはたしたがる
秘密結社 —— 反 乱
第6章 ニコライ1世の体制
システムの否定的側面
大 学
専門職教育
学術生活
宗教生活
勤務の専門職化
社交生活
土地貴族
インテリゲンチヤ
アレクサンドル2世の改革
第7章 帝政ロシアの変形か
1905年革命と1917年革命についての異なる視点
大改革の時代
大改革の否定的結果
反改革
工業化
楕円の2つの極
地主貴族
農 民
都市プロレタリアート
ブルジョアジー
非ロシア系住民
銀の時代
訳者解説
原 注
参考図
年 表
文献目録
関連書
『ロシア革命論Ⅰ』 M.ウェーバー 著/雀部幸隆・小島 定 訳