内 容
分子の気持ちを自分の手で体験しよう —— 本書は、サイコロとチップのゲームを楽しみながら、統計力学の真髄を直感的に納得することを目指す。高校生でも研究者でも面白い、今までにない入門書。生体内の現象に統計力学を応用した、最新の生物物理の話題も解説する。
本書で扱われているシミュレーション(生物物理若手の会のページ)
目 次
まえがき
序 章
第Ⅰ部 統計力学の基本を自分の手で体験する
第1章 基本ルールの説明
第2章 分子の世界は消費税
2-1 チャンスを公平にすると、結果は不公平になる
2-2 やり取りをもっと多くすると
2-3 互いにやり取りをすると差が強調される
2-4 分配の方法をすべて書き出す
2-5 コンピューターシミュレーション
2-6 自分のチップが少ないのは他人のせい
第3章 ルールをいろいろ変えてみる
3-1 破産者消滅型:重合体の形成と平衡
3-2 所得税型:復元力がある場合
3-3 複数の箱に注目
第4章 いつでも今が最高
4-1 ここまでのまとめ
4-2 時間を逆にして見ても同じ
4-3 いつでも今が最高
4-4 反応はひゅっと進む
4-5 固体物性:磁化率についての考察
第5章 第Ⅰ部のまとめ
5-1 ボルツマン分布と等重率の原理の成立の順序
5-2 少数の成分でも統計力学が体験できる
5-3 時間反転対称といつでも今が最高
第Ⅱ部 生体の中の現象に統計力学を応用する
第6章 エネルギーのやり取りとその時間
6-1 低粘度(気体中)の運動
6-2 高粘度(液体中)の運動
6-3 低粘度と高粘度:シス・トランス変化
6-4 ATP加水分解の1分子計測
6-5 粘性とは何か
6-6 気体の中につるした鏡のねじれ運動
第7章 局所温度
7-1 箱の外から局所温度を測る
7-2 Fアクチンの “ 曲げ ” 運動
7-3 ファインマンの爪車(ラチェット)
7-4 Fアクチンの “ 滑り ” 運動のラチェットモデル
7-5 局所温度が測定できる
7-6 少数自由度にエネルギーがたまる
7-7 揺動散逸定理:信念の強さと環境変化への応答
第8章 ブラウン運動
8-1 ブラウン運動を体験する:N歩の2乗平均がN
8-2 海の魚を一網打尽に捕らえる方法
8-3 ブラウン運動とポテンシャル・セオリー:ミクロとマクロの接点
8-4 朝倉・大沢の力(depletion 効果):コロイド粒子間の引力
付録A 海の魚を一網打尽に捕らえる方法
付録B Weylの撞球
あとがき
参考文献
書 評
『本の雑誌』(2018年12月号、特集「理系本は面白い!」、評者:円城塔氏)
『生物物理』(第53巻、2013年12月、評者:金子邦彦氏)
『大学への数学』(2012年11月号、評者:生物物理若手の会)