内 容
物理学分野の個々の事例に基づくボトムアップ式議論と、従来の哲学分野におけるトップダウン式議論とを往還しつつ、創発の伝統的な捉え方を塗り替える。古典力学と量子力学との関係、熱力学と統計力学との関係をあらためて考え直す、気鋭による力作。
目 次
はじめに
第1章 創発はどのように問題になってきたか
1-1 物理学における創発:More is Different
1-2 哲学における創発:イギリス創発主義者
1-3 本書の問題設定と構成
第2章 創発の定義の歴史と探究
2-1 科学哲学における創発と還元
2-2 物理学の哲学における創発と還元
2-3 モデル間関係としての還元
2-4 モデル間関係としての創発
2-5 まとめ
第3章 量子力学と古典力学の創発
3-1 モデル間還元
3-2 解釈に依存しない創発
3-3 量子力学の解釈と創発
3-4 崩壊解釈と隠れた変数解釈
3-5 多世界解釈
3-6 まとめ
第4章 統計力学と熱力学の創発
4-1 相転移と創発
4-2 普遍性とスケーリング則
4-3 普遍性と創発
4-4 不可逆性と粗視化
4-5 まとめ
第5章 創発が存在するこの世界について
5-1 3つのモデルと理論間関係
5-2 創発概念と伝統的な概念
5-3 この世界はどういう世界か
付録1 スケーリング則の導入
付録2 還元と創発の分類
参考文献
あとがき
索 引