内 容
戦国大名の領国経営を土台から捉え直す ——。君臣関係、軍事、賞罰、課役、契約など、多様な規定を含む家法。そこに現れる公界とは何か。当主の支配確立の取組みから、武士・百姓・下人のあり様、そして流通・金融を担う商人との関係まで、法文の精緻な読解により、新たな歴史像を立ち上げる。
目 次
序 論
第1節 分国法・戦国家法の研究史
第2節 『結城氏新法度』
第3節 『相良氏法度』
第Ⅰ部 結城氏新法度
はじめに
第1章 『結城氏新法度』の特徴
第1節 前 文
第2節 『結城氏新法度』の「訓戒」と「家訓」
第3節 結城武士のあるべき姿
第4節 軍 律
第2章 『結城氏新法度』の発生
第1節 結城政勝の政治的誕生
第2節 国人領主・国内有力者との対決
第3章 政勝の所領認識
第1節 屋敷・所帯・立山・立野
第2節 所帯と手作
第3節 足 軽
第4節 百 姓
第5節 境相論 —— 所務沙汰
第6節 所帯・屋敷の給与と占有
第4章 『結城氏新法度』の中の「犯罪」
第1節 博 奕
第2節 人商い
第3節 喧 嘩
第4節 盗 み
第5節 証 拠
第6節 火付け
第5章 『結城氏新法度』の中の「賞罰」
第1節 名 代
第2節 『結城氏新法度』の中の「褒賞」
第3節 『結城氏新法度』の中の「刑罰」
第6章 『結城氏新法度』の中の神社・仏寺・流通
第1節 神社・仏寺と流通
第2節 下人の自己実現と市町での暴力行為
第3節 民衆文化と下人文化
——『結城氏新法度』の中の「領国法」
第4節 下人関連法
第5節 『結城氏新法度』の中の「質取り」
第6節 「門前者」統制策
第7章 『結城氏新法度』と「公界」
第1節 『結城氏新法度』の中の「公界」
第2節 結城氏の城下町・交通網支配
第3節 公界の体制内化
第8章 『結城氏新法度』の中の「披露・陳法・侘言」
第1節 披露(1)—— 許認可に繫がる披露
第2節 披露(2)——「訴訟」に関わる披露
第3節 陳 法
第4節 侘 言
第5節 取次と奏者
第Ⅱ部 相良氏法度
はじめに
第1章 為続法
第1節 戦国相良氏の登場
第2節 相良氏領内の身分秩序 ——〈為続法〉第4条の分析
第3節 第1条~第3条と第5条
第4節 「無文」とは何か
第5節 「買免」とは何か
第6節 「買免」の実例
第7節 第6条と第7条 ——「買免」=取戻しの手続法
第8節 むすび
第2章 長毎法
第1節 「公共法」=裁判基準
第2節 補論 贓物法
第3節 「平和令」
第4節 「雑務法」
第5節 第18条「諸沙汰事」
第6節 むすび
第3章 晴広法
第1節 徴税法 ——「守護大権」の継受 1
第2節 領主法・公共法
第3節 検断関連法 ——「守護大権」の継受 2
第4節 「スッパ・ラッパ法」とは何か
第5節 狭義のスッパ・ラッパ法
第6節 逃亡下人法
第7節 一向宗排除法
第8節 むすび
終 論
第1節 これまでの総括
第2節 『結城氏新法度』の背後の秩序・制度と「主従制的・統治権的支配権」
第3節 『相良氏法度』の三法の特徴と相互関係
第4節 「世界の空隙」から見た両法度の比較
注
あとがき
索 引