内 容
歴史分析の光に照らし、学問的に確実に言いうることとは何か。日韓双方の史料に精通する著者が、過熱する両国の自己中心的な議論を乗り越えて、近世から現代に至る竹島問題の全体像を余すところなく描き出す。不毛な論争を終わらせ、冷静に問題に向き合うための必読の著作。
目 次
序 章 竹島問題をどう解くか
—— 和解に至る知恵を創出するために
第Ⅰ部 近世日本と竹島
第1章 近世日本の西北境界
はじめに
1 17世紀における竹島(鬱陵島)と松島(竹島)
2 元禄竹島一件における竹島(鬱陵島)と松島(竹島)
3 天保竹島渡海禁令
おわりに
第2章 竹島渡海と鳥取藩
はじめに
1 元和4年竹島渡海免許
2 竹島・松島渡海をめぐる大谷家と村川家
3 竹島・松島渡海と幕藩権力
おわりに
第3章 17-19世紀鬱陵島海域の生業と交流
はじめに
1 日本人による鬱陵島海域の利用
2 朝鮮人による鬱陵島海域の利用
3 境界領域に対する意識
4 19世紀における竹島(鬱陵島)認識
おわりに
第4章 『隠州視聴合記』の解釈をめぐって
はじめに
1 『隠州視聴合記』の構成・内容・用語法
2 「此州」を「竹島(鬱陵島)」とする説について
おわりに
第5章 『隠州視聴合記』の諸本について
はじめに
1 写本間の異同について
2 甲乙両系統と著者について
おわりに
第6章 日本の地図・地誌と竹島
はじめに
1 地図と竹島
2 地誌と竹島
3 近代における島名の混乱
おわりに
第7章 「日本海内竹島外一島地籍編纂方伺」の解釈について
はじめに
1 「日本海内竹島外一島地籍編纂方伺」に書かれていること
2 「竹島外一島」の解釈
おわりに
第Ⅱ部 朝鮮と竹島
第8章 安龍福事件考
はじめに
1 元禄6年の事件
2 元禄9年の事件
3 安龍福英雄伝説の形成
おわりに
第9章 隠岐・村上家文書と安龍福事件
1 安龍福事件研究の問題点
2 村上家文書の構成と概要
3 村上家文書から分かること
おわりに
第10章 于山島考
はじめに
1 文献上の「于山島」「于山」
2 古地図
おわりに
第Ⅲ部 20世紀の竹島
第11章 1905年前後の竹島
はじめに
1 1900年前後の朝鮮人鬱陵島民
2 全羅道巨文島の朴雲学翁
3 『民国日報』記事の解釈について
4 中井養三郎の「りゃんこ島」貸下願
おわりに
第12章 20世紀初頭鬱陵島の日本人・朝鮮人
はじめに
1 空島化政策期の鬱陵島
2 1900年前後の鬱陵島
おわりに
第13章 サンフランシスコ講和条約と竹島
はじめに
1 SCAPIN第677号、SCAPIN第1033号と対日平和条約
2 対日平和条約のなりたちとラスク書簡
おわりに
総 括 竹島論争とは何か
はじめに
1 論点の整理
2 論じ方にかかわって
3 無主地先占は成り立つか
おわりに
注
参考文献
初出一覧
あとがき
索 引
書 評
『ヒストリア』(第245号、2014年8月、評者:牧野雅司氏)
『週刊読書人』(2013年12月25日号、評者:阿部安成氏)
著者の既刊書
関連書
『帝国のはざまで』 アンドレ・シュミット 著/糟谷憲一 他訳