内 容
ペリーはまず沖縄にやって来た。—— 19世紀、次々と現れる列強の、布教をふくむ開国要求にさらされ、「鎖国」の防波堤とされた琉球の人々。彼らはいかに対応したのか。幕府や薩摩藩の姿勢は? 東アジアの変動のなか、外圧と内圧の狭間におかれた〈境域〉の経験から、琉球と欧米との交渉過程を初めてトータルに描く。浦賀中心では見えない、新たな開国史。
目 次
凡 例
序 章
第Ⅰ部 布教の戦場
第1章 フランス船の来航
はじめに
1 フランス・インドシナ艦隊アルクメーヌ号の来航
2 フランス「総兵船」の来航
第2章 宣教師たちの滞留
はじめに
1 宣教師たちによる布教活動の展開
2 ベッテルハイムの処遇に苦慮する琉球王府
第3章 薩摩藩による琉球守備兵派遣の偽装工作
はじめに
1 偽りの守備兵派遣
2 阿部正弘と調所笑左衛門・島津斉彬
3 第三次守備兵派遣
第4章 布教をめぐる攻防
はじめに
1 フランス人宣教師の動静
2 ベッテルハイムの動静
3 苦闘やまず
第5章 ベッテルハイムの処遇問題と英国船艦長の首里城入城
はじめに
1 高まるイギリスの琉球への関心
2 ベッテルハイムに対する刀剣窃盗嫌疑事件
3 英船スフィンクス号の来航とシャドウェルの入城
4 薩摩藩政の動揺 —— 島津斉興の隠居
第Ⅱ部 ペリーの来航
第1章 新たな来訪者ペリー
はじめに
1 ペリーの琉球来航
2 ペリーとの交渉
3 四度目の琉球寄港
第2章 提督不在の琉球
はじめに
1 撹乱される琉球民衆の日常
2 ボアード殺害事件
第3章 琉米条約と新たな国際関係
はじめに
1 新たな国際関係へ
2 琉球王府の苦悩
3 条約締結国として
第4章 サーベルの下で結ばれた琉仏条約
はじめに
1 ゲラン提督との交渉
2 琉仏条約締結後の琉球の動向
3 条約の遵守へ
第5章 島津斉彬の構想と琉蘭条約
はじめに —— 市来正右衛門の琉球派遣
1 市来正右衛門の対琉球交渉
2 対オランダ交渉の経過
第6章 王府の内部抗争の展開
はじめに
1 座喜味親方の三司官罷免
2 対立の激化
終 章
註
あとがき
表一覧
索 引
書 評
『史林』(第104巻第3号、2021年5月、評者:張子康氏)
『日本歴史』(2021年9月号、第880号、評者:ティネッロ・マルコ氏)
沖縄タイムス(2020年10月31日付、評者:小野まさ子氏)