内 容
西洋の出現以来せめぎあいを続ける東西の世界秩序、その中から東アジアの焦点として浮かび上がった朝鮮の「属国自主」—— 従来注目されることの少なかった清韓関係を、日本・アメリカ・イギリス・ロシアなどとの交渉の中で捉え、19世紀半ばから日清戦争にいたる東アジアの構造変動を、多言語にわたる徹底的な史料分析によって描き出した画期的労作。
目 次
凡 例
参考地図
緒 論
第Ⅰ部 馬建忠の朝鮮紀行
第1章 丙寅洋擾から江華条約へ
—— 近代清韓関係の発端
はじめに
1 洋擾と清韓関係
2 清韓関係と江華条約
小 結
第2章 シューフェルト条約の成立と馬建忠
はじめに
1 朝鮮の条約締結をめぐって
2 屬國条項の形成
3 朝鮮における馬建忠
4 「属国自主」と馬建忠
第3章 馬建忠と壬午変乱
はじめに
1 清朝の派兵
2 日本側の対応
3 馬建忠の「觀變」
4 馬建忠の対日・対朝交渉
5 日清の入京と大院君拉致
むすび —— 済物浦条約と馬建忠の退場
第4章 馬建忠の朝鮮政策
はじめに
1 馬建忠と「善後六條」
2 「善後六條」の起原
3 馬建忠と朝鮮政府顧問
おわりに
第Ⅱ部 朝鮮と近代清韓関係
第5章 条約と政変と密約
はじめに
1 謝罪兼修信使と条約締結
2 条約締結と清韓関係
3 露朝密約の意味
小 結
第6章 朴定陽のアメリカ奉使
はじめに
1 朴定陽の出発と「三端」の制定
2 朴定陽の着任と「三端」違反
3 朴定陽の離任と帰国
4 公使派遣と清朝
5 朝鮮側の対応 ——「三端」以前
6 朝鮮側の対応 ——「三端」以後
7 朴定陽の立場
8 1889年の転換と『清韓論』
9 対立の顕在化と清朝側の論理
結論と展望
第7章 デニーと『清韓論』
はじめに
1 『清韓論』の刊行過程
2 『清韓論』の執筆構想
3 第二次露朝密約事件と「德尼三策」
4 デニーの赴任と役割
おわりに —— デニーと清韓関係
第Ⅲ部 近代清韓関係と西洋
第8章 アメリカの清韓関係観
はじめに
1 ワシントンの清韓対立
2 駐朝公使館と駐清公使館
3 シューフェルト条約とアメリカ
4 駐朝公使の位置とフォークの進退
むすびにかえて
第9章 英露と清韓関係
はじめに
1 イギリスの立場
2 巨文島事件と英清交渉
3 ロシアの立場
4 ロシアの清韓関係観
おわりに —— 李鴻章と清韓関係
結 論
註
あとがき
引用文献目録
索 引