内 容
東アジア在来秩序を揺るがした明治日本の登場から、琉球、ヴェトナム、朝鮮、チベット、モンゴルへと続く属国・藩部の危機と再編を通して、現代中国の原型が浮かび上がる過程を詳述、万国公法などの翻訳概念の変容を手がかりに、誰も描きえなかった「中国」誕生の全体像に迫った渾身作。
目 次
凡 例
緒 論
第Ⅰ部 危機の時代へ
第1章 清朝の対外秩序とその変遷
—— 會典の考察を中心に
はじめに
1 『康煕會典』
2 『雍正會典』
3 乾隆以降の転換
4 『一統志』と會典
5 清末・民国へ
第2章 明治日本の登場
—— 日清修好条規から「琉球処分」へ
はじめに
1 日清修好条規
2 台湾事件
3 台湾出兵と日清交渉
4 台湾出兵の波及
5 「琉球処分」
6 むすび
第3章 新疆問題とその影響
——「海防」論と「屬國」と「保護」
はじめに —— 1870年代の新疆と海防論・塞防論
1 海防論とは何か
2 イギリスの調停と郭嵩燾の交渉
3 琉球・朝鮮へ
むすび —— 1880年代以降の「保護」
第Ⅱ部 属国と保護のあいだ
——「越南問題」
第4章 ヴェトナムをめぐる清仏交渉とその変容
—— 1880年代初頭を中心に
はじめに
1 曾紀澤の交渉
2 北京交渉
3 天津交渉
4 ブーレの解任
5 ブーレからトリクーへ
6 曾紀澤の再交渉
おわりに
第5章 清仏戦争への道
—— 李・フルニエ協定の成立と和平の挫折
1 前 提
2 交渉の端緒
3 天津交渉
4 結 末
第6章 清仏戦争の終結
—— 天津条約の締結過程
1 清仏戦争と和平の前提
2 条約交渉の開始
3 対立と妥協 ——「往來」問題
4 問題の再燃と条約の締結
まとめと展望
第Ⅲ部 自主から独立へ
——「朝鮮問題」
第7章 「朝鮮中立化構想」と属国自主
はじめに
1 「朝鮮中立化構想」への道
2 「朝鮮政略意見案」の成立
3 「意見案」の位置
4 「意見案」の運命
5 「朝鮮中立化構想」の挫折
おわりに
第8章 自主と国際法
——『清韓論』の研究
はじめに
1 『清韓論』への道
2 『清韓論』の版本
3 『清韓論』の評価
おわりに
第9章 属国と儀礼
——『使韓紀略』の研究
はじめに
1 『使韓紀略』
2 弔使と朝鮮
3 弔使と西洋
むすびにかえて
第10章 韓国の独立と清朝
——「自主」と「藩屬」
はじめに
1 甲午改革から俄館播遷へ
2 大韓帝国の成立と清朝
3 清韓の条約締結
4 1900年の転換
第Ⅳ部 「領土主権」の成立と「藩部」の運命
第11章 「領土」概念の形成
はじめに
1 「藩屬」と「屬地」
2 「屬地」概念と曾紀澤
3 「屬地」の定着
4 「領土」概念の起源
5 「領土」の確立
おわりに
第12章 「主権」の生成
—— チベットをめぐる中英交渉と「宗主権」概念
はじめに
1 露中宣言とシムラ会議
2 「宗主権」と「主権」
3 「主権」の起源
むすびにかえて ——「主権」と「領土」
第13章 「主権」と「宗主権」
—— モンゴルの「独立」をめぐって
はじめに
1 露蒙協定 ——「自立」か「自治」か
2 露中宣言交渉 ——「宗主権」か「主権」か
3 キャフタ会議
むすびにかえて ——「外蒙撤治」へ
結 論
註
あとがき
文献目録
索 引
受 賞
書 評
『中国研究月報』(2020年9月号、第74巻第9号、評者:小林亮介氏)
『史学雑誌』(2020年1月号、第129編第1号、評者:小池求氏)
『週刊読書人』(第3220号、2017年12月22日付、特集「2017年回顧総特集」、評者:関智英氏)
東京財団ホームページ(2017年9月19日、評者:山本敬洋氏)