内 容
モダニズムの軛を解き放ち、ロセッティ、ホイッスラー、レイトン、ムア、アルマ=タデマ、ラスキン、らの仕事をヴィクトリア朝の社会と文化の中で捉えるとともに、日本美術に対する熱狂のさまを実証的に明らかにすることによって、あらためて英国美術の近代性を問い直した労作。
目 次
序 章 モダニズムの軛を解き放つ
1 唯美主義とは何か
2 芸術のための芸術
3 唯美主義運動
4 ジャパニズム
5 ジャパニズムと唯美主義(運動)
第Ⅰ部 ジャパニズム
第1章 ヴィクトリア朝英国に渡った日本の美術
—— 1851~62年
1 博覧会と日本の美術工芸
2 挿絵に描かれた日本の美術
3 最初期の日本美術愛好家たち
第2章 余白と
—— ブックデザイナーとしてのロセッティ
1 19世紀におけるブック・デザインの背景
2 ロセッティの斬新なブック・デザイン
3 ロセッティのブック・デザインの特質と影響
第3章 古代ギリシャと日本
—— 英国の〈
1 ギリシャ趣味と日本趣味の混淆
2 古代ギリシャと日本のアナロガスな関係
第4章 ロセッティと薩摩藩留学生と
1 “
2 薩摩から来た二人の青年
おわりに
第5章 蒲原有明と日本におけるロセッティ崇拝
1 『文学界』前後
2 蒲原有明の登場
3 有明詩にみるロセッティの影響
4 “ロセッティ崇拝” の終焉
5 宿縁のロセッティ
第Ⅱ部 唯美主義
第6章 ロセッティ
—— 絵画の
1 伝説のベールに覆われた波瀾の生涯
2 同時代性の追求
3 物語性から色彩美、装飾性へ
4 新しい科学と宗教的自然観のせめぎ合い
第7章 白のシンフォニー
—— ホイッスラーと唯美主義
1 音楽的題名
2 ホワイト・ガール
3 リトル・ホワイト・ガール
4 白のシンフォニー
第8章 色彩の復権
—— ヴィクトリアンとヴェネツィア派
1 “ラグーンのセイレーンたち”
2 ヴェネツィアの発見
3 典型としてのラスキン
第9章 Pax Romana の画家
—— アルマ=タデマ再考
1 “キッチュの帝王”
2 古代ローマ世界の再現
3 帝国の画家
第10章 アポローン賛歌
—— レイトン卿と ARYAN ART の理想
1 後期ヴィクトリア朝画壇の長
2 アーリアニズムと太陽崇拝
おわりに
第11章 アルバート・ムア
—— “ヴィクトリアン・モダン” の画家
第Ⅲ部 唯美主義運動
第12章 染付とヒマワリの日々
—— G・デュ・モーリエと唯美主義運動
1 『パンチ』誌とヴィクトリア朝画壇
2 「いったいどっちがどっちをつくりだしたんだい?」
3 チャイナ・マニアと唯美主義者たち
4 途中降板の舞台裏
5 チマーブエ・ブラウン夫人再登場
おわりに
あとがき
註
主要参考文献
索 引
書 評
【読売新聞書評】
【日本経済新聞書評】
【毎日新聞書評】