内 容
見出された新たな美——。ヨーロッパからアメリカまで、多様な作陶家・美術商・収集家らを魅了した「陶芸のジャポニスム」。海を越えた日本陶磁や陶器書を手がかりに、美意識や造形が大きく転換・深化していくプロセスを跡づけ、やきものをめぐるグローバルな芸術文化史を描き出す。
目 次
凡 例
序 章 陶芸のジャポニスム
—— 日本はちょうど良い時にやって来た
1 本書が対象とする時代
2 絵画とは異なるジャポニスム
3 『観古図説 陶器之部』
4 『観古図説 陶器之部』がもたらした変化
5 本書の構成
第Ⅰ部 海を渡る陶器書
—— 蜷川式胤と日本陶器
第1章 蜷川式胤の日本陶器研究
1 明治の好古家、蜷川式胤
2 『観古図説 陶器之部』 の特色
3 蜷川の研究と作品解説
4 モースとの出会い
第2章 日本における『観古図説 陶器之部』の普及
1 仏字新聞『レコー・ド・ジャポン』
2 『観古図説 陶器之部』の仏文解説
3 平山成信とデュ・ブスケ
4 平山成信と美術工芸
第3章 『観古図説 陶器之部』の海外輸出
1 アーレンス商会
2 アーレンス商会と美術商ビング
3 ヨーロッパに伝来する『観古図説 陶器之部』
4 大英博物館のフランクス
第Ⅱ部 日本陶器への開眼
—— 万博・収集家・美術商
第4章 1878年パリ万国博覧会と日本陶磁
1 シャン・ド・マルス会場 —— 海外向け陶磁の展示
2 トロカデロ会場 ——日本国内向け陶磁の展示
3 万国博覧会の舞台裏① —— セーヴル製作所と日本
4 万国博覧会の舞台裏② —— 『観古図説 陶器之部』 を紹介した人たち
第5章 パリの収集家
—— 日本陶器コレクションの充実
1 陶磁研究から出発したコレクション
2 日本趣味から出発したコレクション
3 特定の要素に執着したコレクション
第6章 パリの美術商
—— 日本陶磁の指南役
1 円中孫平の商い —— 海外輸出向けの九谷焼
2 林忠正とビングの商い —— 日本国内向けの九谷焼
3 林忠正とコランの関係
4 ラングヴァイユ夫人の商い
第Ⅲ部 複数の東洋と新たな美学
—— フランス陶芸とジャポニスム
第7章 折衷的東洋趣味の絵付
1 装飾を刷新するための技法
2 漆装飾・縁取り釉
3 色 調
4 豊饒な装飾
第8章 進化する泥漿絵画
1 パット・シュール・パット
2 印象派の陶磁器
第9章 芸術となる炻器
1 知事調査
2 ジーグレルとカザン —— 炻器の再評価へ
3 シャプレ —— 日本趣味と自然主義の間で
4 ゴーギャンの型破りな作陶
5 カリエスとカリエス派
第10章 アール・ヌーヴォーと高火度釉
1 銅紅釉と斑紋釉
2 シャプレと銅紅釉
3 結晶釉
4 視覚の美と触覚の美の融合、あるいは連想の美
第Ⅳ部 日本陶器の探究
—— モース・アメリカ・日本
第11章 未刊の『観古図説 陶器之部』第八巻
1 ボストン美術館所蔵の『観古図説 陶器之部』
2 ボストン美術館所蔵の冊子A・B・C
3 『観古図説 瓦之部』と『観古図説 陶器瓦器』、および冊子A
4 冊子B・C、『陶器瓦器』、『陶器之部』第六・七巻の関係
第12章 モースの日本陶器研究
1 モースがヨーロッパで見たもの
2 蜷川コレクションの再構成
3 モース・コレクションの特色
4 モースの研究と作品解説
第13章 モース・コレクションを活用した人たち
1 アメリカ陶芸とジャポニスム
2 アメリカ陶芸とモース・コレクション
3 明治から昭和初期にかけての日本の陶磁研究とモース
終 章 陶芸のジャポニスムの歴史的意義
1 日本陶器研究を志した蜷川式胤
2 蜷川式胤を慕う人たち
3 日本陶器を収集した人たち
4 日本陶器研究を深化させたモース
5 モースから学んだ人たち
6 陶芸の可能性を探った人たち
あとがき
関連年表
資 料
注
参考文献
図表一覧
事項索引
人名索引
受 賞
書 評
『美術フォーラム21』(第36巻、2017年、評者:粂和沙氏)
『週刊読書人』(第3179号、2017年3月3日、評者:冨田康子氏)
『週刊読書人』(第3170号、2016年12月23日、評者:河本真理氏)
『図書新聞』(第3285号、2017年1月1日、評者:稲賀繁美氏)