内 容
19世紀、近代的な装備の下、英国は北極探検をリードした。本書は、従来極地を舞台とした栄光と挫折の物語として探検史の文脈でしか語られることのなかった或る失踪事件を、新たに社会的想像力の問題として捉え直すことによって、ヴィクトリア朝の文化と文明意識を鮮やかに描き出す。
目 次
はじめに
序 章 “北極ヒーロー” の時代
—— 探検とジェントルマン
第1章 そして、船は出ていく
—— 科学とオプティミズム
第2章 極北のラビリンス
—— ジャーナリズムと透視術
第3章 幕 間
—— パノラマニアの北極
第4章 “ケトルの中身”
—— ディケンズとカニバリズム
第5章 フランクリンの運命
—— 英雄崇拝と文学
第6章 “事を図るは人、成否を決するは神”
—— 北極絵画と記念碑
終 章 フランクリン・シンドローム
—— ヴィクトリア朝の文明意識
あとがき
註
参考文献
索 引