内 容
東アジアを揺るがす危機の核心とは何か。日本、アメリカ、国府、中国、そして民間アクターの複雑な動きを詳細に叙述、沖縄返還とアメリカの中立政策の影響を軸に、尖閣が妥協の困難な領土問題として浮上する過程を鮮明に描き出す。日中危機を根源から理解するための必読の成果。
目 次
はしがき
謝 辞
凡 例
序 章 尖閣問題とアメリカの「中立政策」
尖閣問題と日米安保条約
尖閣諸島をめぐる摩擦とアメリカ —— 1990年代
2000年代以降
先行研究の検討
本書の意義
本書の構成
第1章 尖閣諸島の歴史
尖閣諸島の概要
歴史資料の中の尖閣諸島
日本の領土編入措置
編入後の尖閣諸島
第2章 アメリカの占領・統治下の沖縄と尖閣諸島
占領期と講和初期の尖閣諸島
米軍の射爆訓練区域としての尖閣諸島
第一次台湾海峡危機と 「第三清徳丸」 事件
沖縄と日本の研究者による調査・研究
尖閣周辺での違法行為
沈船解体と不法入域の問題
警告板の設置
一時避難施設に関する国府の要請
海上保安庁による巡視艇と操船指導員の派遣
不法入域対処の新指針
気象観測所設置の試み
第3章 国連ECAFEの調査と尖閣問題の起源
ECAFEの調査
採掘権をめぐる競争 —— 日本と沖縄
採掘権をめぐる競争 —— 台湾
日本の対応と台湾の反応
台湾国旗掲揚事件
採掘権についてのアメリカの立場
沖縄の反応
第4章 沖縄返還交渉とアメリカの「中立政策」
沖縄返還の決定の背景
交渉チームと交渉のための枠組み
尖閣問題の争点化 —— 1970年夏・秋
アメリカによる中立の立場の表明
漁業と大陸棚をめぐる協議
沖縄返還協定の日本側対案の提示
「合意された議事録」に関するアメリカ側の主張
アメリカ政府に対する中華民国政府の圧力
ブレイ声明と学生デモの発生
学生デモをめぐる米台関係
抗議活動の継続と尖閣の飛行調査問題
返還延期をめぐる米台協議
尖閣問題と繊維問題
ニクソン・キッシンジャーと尖閣
日台対話のためのアメリカの最後の努力
第5章 沖縄返還協定と日本国内および関係諸国の反応
調印式とブレイ声明
尖閣問題への台湾と香港における関心の高まり
沖縄返還協定の批准
日本における政党の立場と新聞の社説
日本政府の主張に対する国内の反対
緊張の継続とアメリカの関与
返還協定への中国の反応
1972年3月8日の日本政府声明
アメリカの中立姿勢と日本政府の対応
尖閣の防空識別圏と訓練区域
5月15日の抗議に対する懸念
結 論
注
附 録
訳者解説
参考文献
略語一覧
図表一覧
事項索引
人名索引