内 容
戦後日米外交の焦点となり、今日なお日米関係の棘となっている沖縄問題の原点を、政治・外交史の分野からはじめて包括的に解明した画期的成果。戦後沖縄の運命を決定づけた講和条約第3条とは何であったのか? 信頼の置ける記述により沖縄問題への確かな視点を示す。(著者は本書にも収載の「サンフランシスコ講和条約と沖縄の処理 ——「潜在主権」をめぐる吉田・ダレスの「交渉」」により読売論壇新人賞最優秀賞を受賞。)
目 次
献 辞
謝 辞
はじめに
参考地図
第1章 沖縄問題への視座
1 背景と目的
2 先行研究と本書の構成
第2章 沖縄をめぐる戦略的議論 1942-1946
—— 国家安全保障の模索
はじめに
1 戦後構想の開始 —— JCS183シリーズ
2 JCS570シリーズと戦後の基地構想
3 沖縄と日本の「相互離反」—— OSSによる研究
4 沖縄の戦略的重要性と米軍のコンセンサス
5 沖縄の保有化 —— JCS570シリーズと沖縄
第3章 米国国務省の戦後計画と沖縄 1942-1946
——「領土不拡大」原則の実現へ
はじめに
1 戦中の国務省と初期戦後計画
2 国務省の政策形成開始とマスランド報告
3 カイロ宣言の解釈をめぐって
4 政策の形成に向けて —— 戦後計画委員会の創設
5 SWNCCと極東小委員会
第4章 SWNCCでの沖縄に関する議論 1945-1947
—— 信託統治問題をめぐる対立と交渉
はじめに
1 国連の信託統治制度
2 太平洋諸島に関するコンセンサスの模索
3 軍事的考慮による信託統治案 —— JCS1619シリーズ
4 国務省の立場 —— SWNCC59シリーズ
5 トルーマン声明
第5章 日本政府の講和条約準備作業と沖縄の地位に関する見解 1945-1948
はじめに
1 外務省による講和条約の準備作業
2 外務省と連合国の接触
3 天皇メッセージ
第6章 米国政府内の沖縄政策の形成
—— NSC13の成立 1947-1949
はじめに —— 講和条約準備へ
1 「琉球の処遇」—— 2つのフィアリー覚書
2 ボートンの日本視察 —— 講和条約に向けて
3 講和条約草案に対する軍部の批判
4 PPSからの批判
5 SANACC特別委員会とJCSの見解
6 沖縄占領に関するシーボルドの報告 —— 決定への前進
7 基地租借方式の研究とSANACCの再開
8 ケナンの極東視察
9 PPS28に関する国務省内の検討
10 琉球の処遇に関する国連局の報告
11 NSC13の形成
第7章 対日講和条約と第3条 1949-1951
—— 米国の戦略と日本の要請、そして国際承認の問題
はじめに
1 講和、安保条約締結への動き
2 講和に向けて —— ダレスと国務省のブリーフィング
3 日本訪問のための準備
4 第一次ダレス訪日
5 国務省・国防総省間の合意と草案の準備
6 沖縄と条約草稿
7 国務省の懸念の再浮上
8 沖縄に関する日本政府の要望
9 第二次ダレス訪日と日米交渉
10 連合国との協議、ワシントン、そして再び日本へ
11 潜在主権の方式
12 潜在主権の承認と吉田の受理演説
終 章 第3条の限界
—— 批准と「実際的措置」への逃避
1 批准と第3条の解釈の問題
2 「南方諸島に関する『実際的措置』」についての吉田覚書
3 米国政府内の対立の再浮上
4 講和条約発効前の国務省と軍部の最終会談
5 結 論 —— 日米間の沖縄問題の起源
註
日本語版へのあとがき
参考文献
略号一覧
索 引
受 賞
書 評
【日本経済新聞書評】
【読売新聞書評】