内 容
近代的なネイションの底にあるものは何か? —— ネイションやナショナリズムはまもなく乗り越えられるという楽観的な進化論を再検討するとともに、現在ふたたび生命力を示しているエスニックな要素の起源を探り、前近代的な文化とアイデンティティの運命を明らかにした名著。
著訳者紹介
(所属等は、邦訳書初版第1刷発行時のものです)
【著 者】
アントニー・D・スミス(Anthony D. Smith)
ロンドン大学政治経済学部ヨーロッパ研究所・エスニシティとナショナリズム研究部門の主任。イギリス民族学会ASENの前会長、現副会長。オックスフォード大学ワドハム・カレッジで古典と哲学を、ブルージュのヨーロッパ大学で政治学、社会学、歴史学を学ぶ。LSEで博士号取得。本書をはじめとして、著書多数。
【訳 者】
巣山靖司(日本語版への序、序章、第1章、第9章、訳者あとがき、地図)
高城和義(まえがき、第6章、第7章)
河野弥生(まえがき、第6章、第7章)
岡野内正(第2章、第3章)
南野泰義(第4章、第5章)
岡田 新(第8章)
目 次
日本語版への序
まえがき
凡 例
序 章
第1章 ネイションは近代の産物か
1 「近代主義者」と「原初主義者」
2 エトニ・神話・象徴
3 エスニックな共同体の持続性
第Ⅰ部 前近代におけるエスニックな共同体
第2章 エスニックな共同体の基礎
1 エトニの諸側面
2 エスニシティ形成のいくつかの基礎
3 エトニの構造と持続
第3章 歴史の中のエトニとエスニシティ主義
1 独自性と排除
2 エスニックな抵抗と刷新
3 外部からの脅威とエスニックな反応
4 エスニックな神話力の二類型
第4章 農業社会における階級とエトニ
1 「社会的浸透」の問題
2 軍事的動員とエスニックな意識
3 エトニの二類型
4 エスニックな政治体
第5章 エスニシティの存続とその消滅
1 位置と主権
2 人口統計学的連続性と文化的連続性
3 エトニの解体
4 エスニシティの存続
5 エスニックな社会化と宗教の再生
第Ⅱ部 近代におけるエトニとネイション
第6章 ネイションの形成
1 西洋の革命
2 領域的なネイションとエスニックなネイション
3 ネイション形成
4 エスニックなモデル
5 エスニックな連帯か政治的市民権か
第7章 エトニからネイションへ
1 エトニの政治化
2 新しい聖職者
3 自給自足と領域化
4 動員と包摂
5 新しい想像力
第8章 伝説と風景
1 郷愁と後世の人々
2 過去の感覚
3 「歴史劇」としての、ロマンティックなナショナリズム
4 詩的な空間 —— 風景の利用
5 黄金時代 —— 歴史の利用
6 神話とネイションの建設
第9章 ネイションの系譜
1 パルメニデス学派とヘラクレイトス学派
2 ネイションの「古さ」
3 エスニシティを超えて?
4 小民族の世界?
5 エスニックな動員と地球規模の安全保障
注
訳者あとがき
関連地図
参照文献
索 引
書 評
『週刊ダイヤモンド』(2015年10月17日号、評者:佐藤優氏)
『週刊読書人』(1999年12月24日号、第2316号、特集「1999年回顧」、評者:髙木勇夫氏)
『図書新聞』(1999年8月28日号、第2451号、評者:加藤一夫氏)
関連書
『国際移民の時代[第4版]』 S.カースルズ/M.J.ミラー 著 関根政美・関根 薫 監訳