内 容
冷戦終結とともに世界的規模で激化している人種・民族紛争の原因は何か? 人種・民族・エスニシティに関する近年の動向と従来の膨大な諸学説を明快に鳥瞰整理してその本質に迫るとともに、21世紀にむけて最重要の課題である民族紛争の制度化のために、今何が必要かを考察する。
目 次
はじめに
第1章 エスニシティの政治社会学
1 人種・民族・エスニシティの定義
2 民族とエスニシティ
3 人種概念の必要性
4 人種・民族・エスニシティの政治社会学
第2章 人種主義学説の形成と帰結
1 人種概念と人種研究
2 人種差別の先行形態
3 優生学・民族衛生学 —— 人種主義とその実践(1)
4 ナチス・ドイツの人種理論 —— 人種主義とその実践(2)
5 古典的人種主義の整理
6 科学的人種差別 —— 第2次世界大戦後の人種主義
第3章 同化主義学説の展開と帰結
1 ユネスコの反人種主義声明
2 近代化論と同化主義
3 パークとゴードンの同化主義モデル
4 同化主義アプローチの有効性
5 マルクス主義と同化主義理論
第4章 多元主義学説の展開(1)
—— 心理主義的アプローチ
1 人種・民族・エスニシティ研究の動向
2 原初的特性重視論(文化人類学アプローチ)
3 社会生物学アプローチ
4 社会心理学アプローチ
第5章 多元主義学説の展開(2)
—— 構造主義的アプローチ
1 ネオ・マルクス主義者の人種主義資本主義論
2 文化的分業(国内植民地)論
3 エスニック集団競合論
4 分割労働市場論と中間マイノリティ論
5 エスニック・エンクレイブ論
第6章 人種・民族・エスニシティ理論の整理と検討
1 人種・民族・エスニシティ研究学説の整理
2 構造・手段主義的アプローチの優位性
3 各種学説の対抗的相補性
4 現代社会の人種・民族・エスニシティの特質
5 人種・民族・エスニック集団関係の諸類型
6 人種・民族・エスニック集団関係の歴史的展開とその評価
第7章 多文化主義の可能性と限界
1 多文化主義の特質と目的
2 多文化主義の多様性
3 多文化主義の問題と限界
4 民族紛争の制度化 —— 階級闘争から民族闘争へ
第8章 EC 統合と旧ソ連の崩壊
1 現代の地域主義とエスニシティ
2 EC 統合の動き
3 EC 統合と文化・言語統合
4 旧ソ連・東欧における地域主義の動向
5 東欧の民族紛争
6 地域主義と国家再編問題への文化的アプローチ
第9章 人種・民族・エスニック集団関係の豪日比較
1 オーストラリアの人種・民族・エスニック集団関係
2 白人と先住民(アボリジニ)との人種関係
3 日本の人種・民族・エスニック集団関係
4 今後の問題 —— 日本の場合
引用・参照および参考文献
事項索引
人名索引
著者の既刊書
『国際移民の時代[第4版]』 S.カースルズ他 著/関根政美他 監訳
関連書
『ネイションとエスニシティ』 A.D. スミス 著/巣山靖司・高城和義 他訳