内 容
隔離か、共生か ——。差別と寛容の狭間で、豊かな文化を育んだヴェネツィアのユダヤ人たち。16世紀から現代にいたるヨーロッパ・地中海世界の激動の歴史のなかで、金融業や商業、さらには政治・宗教・思想など多様な領域で活躍した「シャイロックたち」と、水の都が織りなす500年の物語。
著者紹介
リッカルド・カリマーニ (Riccardo Calimani)
1946年生まれ。パドヴァ大学、ヴェネツィア大学を卒業後、イタリア国営放送(RAI)勤務を経て、ユダヤ人の歴史に関する多くの書籍を刊行。その功績により、1986年にはイタリア議会から文化賞を贈呈され、1997年にはヨーロッパ文化賞を受賞した。
(所属等は邦訳初版第1刷発行時のものです)
目 次
新版への序文
序 ユダヤ人シャイロック
1 ヴェネツィアへのユダヤ人の到来
2
3 アブラバネル家 —— 地中海を流浪するユダヤ人
4 ゲットー・ヌオーヴォの誕生 —— ドイツ系ユダヤ人、1516年
5 ゲットー・ヴェッキオ —— レヴァント系ユダヤ人、1541年
6 異端審問とマラニズモ
7 異端審問所でのユダヤ人、マラーノ、再改宗者
8 16世紀におけるヴェネツィアの出版業
9 ナクソス公 —— 3つの名前、1つのアイデンティティ
10 レパントの海戦
11 ダニエル・ロドリーガと西方系ユダヤ人
12 16~17世紀のユダヤ人
13 社会・宗教・文化 —— 100年後のヴェネツィアのゲットー
14 レオーネ・ダ・モデナ、あるいは矛盾について
15 女性詩人サラ・コッピオ・スッラム
16 シモーネ・ルッツァット、あるいは一貫性について
17 ジュリオ・モロシーニ別名サムエル・ナーミアス
—— 未完のアイデンティティと反ユダヤ論争
18 繁栄から零落まで —— 17世紀のヴェネツィアとゲットー
19 地獄、メシアの風、「小さな白いずきん」
20 ユダヤ人共同体の破産、1700~1750年
21 モーセ・ハイム・ルッツァットとシモーネ・カリマーニ —— 二人のラビを比較して
22 ゲットーの終わり、1750~1797年
23 ウニオーネ地区での自由
24 19世紀のヴェネツィアとユダヤ人 —— オーストリアとイタリアの間で
25 ユダヤ人はイタリア王国の大臣になれるのか
26 20世紀 —— 迫害と衰退
結 び
解説(藤内哲也)
訳者あとがき
補 遺
ヴェネツィア共和国の主な機関(16~18世紀)
ユダヤ用語解説
ヴェネツィア・ヘブライ方言についての覚書
参考文献
索 引
書 評
『図書新聞』(2024年11月9日号、第3662号、評者:李美奈氏)
関連書
『原典 イタリア・ルネサンス芸術論 上・下』 池上俊一 監修