内 容
世代論、人口動態論、ミリュー論、女性史、余暇行動の分析、相対的安定期の重視など、数々の斬新な枠組みと論点を導入し、ワイマル共和国を独自の時代としてトータルに把握 —— 近代の両義的過程を見据えた冷静で現実主義的な解釈は、本書をしてこの時期の最良の通史としている。
目 次
はしがき
Ⅰ 序 論
第1章 ドイツ史の連続性のなかにおけるワイマル共和国
政治的な区切り
妨げられた近代化
人口動態上の革命
岐路に立つ社会
阻害された経済成長
4つの政治的世代
Ⅱ ポイントの切り替え 1918-1923年
第2章 負の遺産と新しい始まり 1918/19年
ドイツ革命 —— 期待の時期
決定の時期
失望の時期
開かれた妥協としての憲法制定
講和締結の困難
国内での戦争の精算
挫折した革命か、それとも基本的妥協か
第3章 戦後危機 1920-1923年
履行政策と破局政策
インフレーションの10年間 1914-24年
守勢に立つ共和国
Ⅲ 社会的近代化とそれによる緊張
第4章 世代経験と解放闘争
人口構成の変化
余計者の青年世代
「新しい女性」
性の合理化
男性の妄想と母の日
第5章 合理化と戦後経済の構造的危機
コーポラティズムの試運転
合理化の非合理的な結果
ワイマルの「病める経済」
「労働組合国家」への反抗
第6章 社会国家の発展と危機
「社会政策」から「社会国家」へ
「社会工学」の限界
「文化国家」の二律背反
不吉な前兆 —— 社会支出の削減から選別へ
第7章 社会的ミリューと政治的編成
20年代の社会的ミリュー —— 平準化傾向と新たな分断
社会主義的労働者ミリュー
カトリック・ミリュー
新しい階層ホワイトカラーと「旧中間層」
ユダヤ人の解放、同化、差別
公共社会の形態変化
第8章 大衆文化の「新即物主義」
後期ヴィルヘルム時代のアヴァンギャルドと共和国の様式多元主義
大衆文化の幕開け
急進化と両極化
大量消費
第9章 「アメリカニズム」と文化批判の狭間で
「アメリカ」をめぐる葛藤
「新しい都市」と「新しい居住様式」
文明批判の二面性
Ⅳ 偽りの安定 1924-1929年
第10章 外交的修正主義の選択肢
賠 償
ドイツと世界経済
対西欧協調政策
東方政策の矛盾
1930年の対決政策・広域政策への転換
第11章 国内の安定という幻想
選挙情勢 —— 趨勢と問題
ブルジョワ・ブロックと大連合
大統領優位の諸要素
共和国の正当性をめぐって
第12章 政治文化の分断
国家を担うエリートの妨害
地方の反乱
ナチズムのダイナミズム
全体主義の誘惑
Ⅴ 全般的危機 1930-1933年
第13章 世界経済恐慌
世界経済恐慌の原因
ドイツにおける恐慌の経過と影響
恐慌の経験
恐慌の克服か、その激化か
第14章 選択肢の消滅
権威主義的転換の輪郭
勢力状況 1930-32年
共和国の最期
ファシズムの麻痺
1933年1月30日
Ⅵ 展望 —— 古典的近代の危機
あとがき
原 注
訳 注
訳者解説 ポイカートと近代(小野清美)
邦語参考文献目録
文献解題
年 表
人名索引
関連書
『ナチズムと歴史家たち』 P. シェットラー 編/木谷 勤・小野清美・芝 健介 訳
『第三帝国の音楽』 エリック・リーヴィー 著/望田幸男監訳/田野大輔・中岡俊介 訳