内 容
「青年を制するものは世界を制する」—— 教養と「フォルク」のあり方を真摯に問い、ナチス「革命」の能動的な担い手と化してゆく若き知的エリートとその思想の生成過程を、ヴァンダーフォーゲルからナチス学生にいたるまで、初めて総合的・社会史的に解明した労作。
目 次
はじめに
序 章 問題の所在と本書の課題
Ⅰ ヴィルヘルム時代の青年・学生運動の論理と展開
第1章 ドイツ近代史における教養市民層
—— その成立・発展・危機
1 教養市民層の形成過程における「教養」と「フォルク」
2 教養市民層の身分階層的危機と「知識人」の誕生
第2章 ドイツ青年運動の誕生と発展
1 ヴァンダーフォーゲル運動の心情と展開
2 「自由ドイツ青年」運動の誕生精神
3 「自由ドイツ青年」の思想的特質と行動様式
第3章 自由学生連合の発足と「大学改革」構想
1 古典的大学の危機と自由学生連合の発足
2 自由学生連合の「大学改革」構想と「左派」
Ⅱ ドイツ革命期の青年・学生運動の論理と展開
第4章 「自由ドイツ青年」の内部対立と崩壊
1 革命の勃発と「自由ドイツ青年」の思想的模索
2 「自由ドイツ青年」の思想的対立と崩壊
第5章 社会主義学生グループの「大学改革・革命」
1 大学・学問批判と「プロレタリア的知識人」の登場
2 社会主義学生グループの「大学改革・革命」の論理と展開
Ⅲ ヴァイマル時代の青年・学生運動の論理と展開
第6章 「同盟青年」運動の論理と展開
1 ヴァンダーフォーゲル運動の再生
2 「開拓者」運動の青年運動化
3 「同盟青年」の思想的土壌と特質
4 「ドイツ義勇団」に見る「同盟青年」運動の展開
5 ヴァイマル末期の「同盟青年」運動とナチズムへの対応
第7章 ナチス学生同盟の論理と展開
1 ヴァイマル共和国における学生の社会的・心理的・知的情況
2 ナチス学生同盟の発足と原思想
3 新指導者の就任とナチス学生同盟の発展
4 ナチス学生同盟の「大学征服」
Ⅳ ナチス時代の青年・学生運動の論理と展開
第8章 「同盟青年」運動の「崩壊」と「抵抗」
1 「同盟青年」の「崩壊」とヒトラー・ユーゲントの「国家青年」化
2 「同盟青年」と「白バラ」グループのナチス国家への「抵抗」
第9章 ナチス「大学革命」と大学・学生
1 ナチス「大学革命」の論理と大学管理システムの成立
2 ナチス的学生創出の論理と過程
3 学生諸団体の同調、競合・対抗と帝国学生指導部の成立による統一
終 章 若き教養市民層とナチズム
あとがき
索 引
著者の既刊書
『ワイマル共和国』 D.ポイカート 著/小野清美・田村栄子・原田一美 訳
関連書
『ナチズムと歴史家たち』 P.シェットラー 編/木谷 勤・小野清美・芝 健介 訳