内 容
日本の経済発展の担い手とは? 日本各地に存在した、企業家の人的繋がりの実体と機能を、当時の役員録より構築したデータベースに基づき析出。ネットワークの構造分析を初めて全国規模で行うとともに、その具体的活動について愛知県を事例に詳察し、研究の基礎を築く画期的成果。
目 次
序 章 日本の企業家ネットワーク
1 研究史における「グループ」とデータベースによる検証
(1)本書の課題と分析手法
(2)大都市の事例
(3)地方における事例
(4)中都市および大都市近傍での事例
2 日本全国に存在したネットワーク
3 ネットワークからの歴史分析
第Ⅰ部 日本全国における企業家ネットワーク
第1章 明治31年・明治40年の『役員録』と企業家の特徴
1 『役員録』に登場する企業家と会社
(1)本書が依拠した資料:『日本全国諸会社役員録』
(2)明治31年の役員と会社
(3)明治40年の役員と会社
小 括
2 『役員録』に登場した会社役員の特徴
(1)役員の出自
(2)地主と役員
(3)積極的な人物像
第2章 明治31年と明治40年の企業家ネットワークの構造分析
1 企業家ネットワークの定義
(1)渋沢栄一が果たした役割
(2)株式会社の設立
(3)企業家ネットワークの定義
小 括
2 明治31年の企業家ネットワーク
(1)企業家ネットワークの外的構造
(2)企業家ネットワークの類型化と規模
(3)会社経営への関与
小 括
3 明治40年の企業家ネットワーク
(1)企業家ネットワークの外的構造
(2)企業家ネットワークの類型化と規模
(3)会社経営への関与
小 括
4 企業家ネットワークの継続と消滅
(1)企業家ネットワークの継続と消滅
(2)役員の継続
(3)収益性の比較
小 括
第Ⅱ部 愛知県の企業家ネットワークと産業発展
第1章 愛知県の企業家ネットワークと産業
1 愛知県の産業
2 『愛知県統計書』と『役員録』
3 愛知県の企業家ネットワークと類型
4 愛知県の企業家ネットワークの分析に向けて
第2章 「伊藤・岡谷ネット」
—— 伊藤次郎左衛門・岡谷惣助を中心とするネット
1 名古屋市における3つのケーススタディ
2 伊藤・岡谷ネット
3 伊藤次郎左衛門家と岡谷惣助家
4 伊藤・岡谷ネットの会社 —— 愛知銀行と名古屋紡績
(1)愛知銀行
(2)名古屋紡績
小 括
第3章 「瀧ネット」
—— 瀧兵右衛門・瀧定助を中心とするネット
1 瀧兵右衛門(4代)と瀧定助(初代)
2 銀行の設立 —— 名古屋銀行、名古屋貯蓄銀行
(1)名古屋銀行
(2)名古屋貯蓄銀行
3 日清・日露戦争後の会社設立
—— 帝国撚糸・帝国撚糸織物、鉄道車輛製造所、東海倉庫
(1)帝国撚糸・帝国撚糸織物
(2)鉄道車輛製造所
(3)東海倉庫
小 括
第4章 「奥田ネット」
—— 奥田正香を中心とするネット
1 奥田正香の出自と実業家としての成功
2 実業家・財界人としての地位の確立
(1)米商会所頭取就任
(2)名古屋商業会議所の会頭就任
(3)鈴木摠兵衛 —— 奥田ネットの中核かつ名古屋財界における奥田正香の後継者
3 明治20年代前半における会社設立
—— 尾張紡績、名古屋生命保険、名古屋倉庫、名古屋株式取引所
(1)尾張紡績
(2)名古屋生命保険
(3)名古屋倉庫
(4)名古屋株式取引所
4 日清戦争後の会社設立 —— 明治銀行、日本車輛製造
(1)明治銀行
(2)日本車輛製造
5 日露戦争後の会社設立
—— 名古屋瓦斯、名古屋電力、福寿生命保険・福寿火災保険
(1)名古屋瓦斯
(2)名古屋電力
(3)福寿生命保険・福寿火災保険
小 括
終 章 企業家ネットワークの歴史的意義
1 日本全国における企業家ネットワーク
2 愛知県の企業家ネットワークと産業発展
(1)愛知県の産業
(2)名古屋市における3つのケーススタディ
3 企業家ネットワークの存続と地域経済発展
付 表
あとがき
人名索引
会社・事項索引