内 容
よく知られた「かんばん方式」の背後にあるものを徹底的に探ることからはじめ、多様な顧客ニーズへの対応や、遅れた海外展開まで、トヨタの巨大な生産システムを支える、一貫した「情報」への取り組みを明らかにし、企業にとっての独自性とは何かをあらためて問いかけた渾身の力作。
従来のトヨタ生産方式のイメージを大きく覆した力作『ものづくりの寓話』(日経・経済図書文化賞受賞作)の完結編。
目 次
はしがき
第1章 「かんばん」から何が見えてくるか?
1 「かんばん」とは何か? —— 先達に学ぶ
2 「かんばん」と帳票は関係があるのか?
3 なぜ外注かんばんにバーコードが付いているのか?
4 最終組立ラインではラベル(張り紙)がなぜ今でも使われているのか?
5 「かんばん」は情報システムとは無縁なのか?
6 部品購入業務に情報システムはどのように関わったのか?
7 いつ、なぜ、何が契機で「かんばん」が導入されたのか?
8 なぜ「かんばん」は必要なのか? なぜ円滑に動いているのか?
9 なぜ現在のスーパーマーケット方式の理解が生まれたのか?
第2章 顧客の多様な需要に対し、いかに迅速・効率的に応えるか?
1 誰が最終製品を顧客に届けるのか?
2 二社体制が成立したのは、どのような経緯を経てなのか?
3 二社体制の効率的な運営のために、どのような方策がとられたのか?
4 合併前に業務の統合・効率化はどこまで進展していたのか?
5 再合併によって業務は効率的になったのか?
第3章 なぜトヨタの海外展開は遅かったのか?
1 トヨタの海外展開の特徴は何か?
2 トヨタはどのように海外へ進出したのか?
3 1970年代初頭、トヨタは海外組立工場をどのように展開していたのか?
4 なぜトヨタの海外生産の展開は遅かったのか?
終 章 トヨタの独自性とは何か?
1 なぜ本書の副題に「独創性」ではなく「独自性」を用いたのか?
2 「かんばん」が生産システムを統御しているのか?
3 外注かんばんの記載はずっと変わっていないのか?
4 「かんばん」に記載される「品番」改訂にはどのような意味があったのか?
5 工程全体を把握するにはどのようにすればよいのか?
6 なぜ部品組立表は必要なのか?
7 部品表をどのように作成したのか?
8 部品表がデジタル情報として処理できると何が変わるのか?
9 トヨタの海外展開には部品表は関係がなかったのか?
10 「生産」を「管理」する仕組みを、なぜ簡単に模倣できないのか?
注
あとがき
資 料
図表一覧
索 引
書 評
『MARR online』(2014年5月号、第235号、評者:川端久雄氏)
『ものづくりの寓話』
著者の既刊書
『アメリカン・システムから大量生産へ』 D.A.ハウンシェル 著/和田一夫・金井光太朗・藤原道夫 訳
『帝国からヨーロッパへ』 J.オーウェン 著/和田一夫 監訳
『企業家ネットワークの形成と展開』 鈴木恒夫・小早川洋一・和田一夫 著