内 容
「原点」を問い直す。—— 日本で自動車の大量生産はいかにして成し遂げられたのか。誤解に満ちたフォード・システムの実態を明らかにすることからはじめ、その日本への導入について考察。事実を見つけ出し一つひとつ積み上げていくことで、出来合いのイメージの向こうから、トヨタが構築してきた生産方式のまったく新たな相貌が浮かび上がる。
目 次
はじめに
第1章 フォード・システムの寓話
—— 模倣すべきフォード・システムとは何だったのか?
1 なぜ「フォード・システム」を再考するのか?
2 「フォード・システム」はどのように理解されてきたのか?
3 静止式組立方式がもたらした成果と限界
4 移動式組立ライン導入の経過とその効果
5 工場群としての「フォード・システム」
6 なぜフォードT型は生産を終えたのか?
7 コンベヤーの導入が変えたもの —— 工場そのもの
8 フォード・システムとは何だったのか?
第2章 「フォード・システム」の日本への受容
1 フォード社による「フォード・システム」の広報
2 日本における「フォード・システム」の受容
3 航空機生産工程における「流れ作業」方式
4 戦後の展開 —— 推進区制方式の提唱と限界
5 1950年代初頭の日本におけるフォード・システム受容の到達点
第3章 自動車事業におけるフォード・システム移転の試み
—— 自動車製造の「流れ作業」的編成に向けて
1 フォード・システムを移転しようとした企業者と企業はいつ出現したのか?
2 互換性部品の重要性はどのように認識され、実践されたのか?
——「許容公差」概念の認識から、その製造への実践
3 自動車製造事業創設の試み
—— 小規模な自動車生産体制の構築
4 疑似的「流れ作業」方式の模索
第4章 自動車事業における流れ作業への模索
—— 製造現場データの把握とその利用
1 製造現場の改革と労働争議は無関係だったのか?
2 1950年労働争議前後の状況
3 製造現場の実態把握へ
第5章 経営陣の渡米とその影響
—— 混流生産とパンチカード、マテリアル・ハンドリング
1 混流生産の「発見」とそれによる着想
2 「マテリアル・ハンドリング」の重要性の認識
—— 経営陣の渡米による第二の成果
第6章 ダイヤ運転からジャスト・イン・タイム、「かんばん方式」へ
1 日本における運搬管理 —— ダイヤ運転
2 スーパーマーケット方式の導入
3 人材育成と「かんばん」の導入
終 章 最適な生産規模と立地を求めて
——「部品表」の完成
注
あとがき
索 引