内 容
なぜ日本で戦後に、柔軟に課題に対応できる大量の現業労働者たちが育っていたのか? 復興から高度成長への歩みを支えた現場の熟練形成の画期を、戦前以来の学校や工場での技能教育にたどり、徒弟制からの転換をもたらした若年労働者教育の決定的役割を鮮やかに描き出す。
目 次
序 章 課題としての技能形成
—— 多能工養成の歴史的位相
はじめに
1 明治・大正期の技能形成
2 1930年代から50年代半ばの技能形成
3 本書の課題と構成
第1章 熟練工論争とは何か
はじめに
1 多能工論の展開
2 単能工論の展開
おわりに
第2章 熟練工養成政策の展開
—— 1930年代後半を中心に
はじめに
1 戦前期工業教育の特質 —— 普通教育志向の位階制
2 熟練工養成政策の展開
3 工場事業場技能者養成令の成立と運用
おわりに
第3章 技能形成の実態とその可視化の試み
—— 大企業・中小企業と技能者養成テキストの刊行
はじめに
1 大企業と中小企業における技能形成
2 技能形成の実態
3 日本技術教育協会の実践
4 技能者養成テキストの刊行とその歴史的意義
おわりに
第4章 中等工業教育と熟練工養成
—— 工場学校、下請工場、工業学校の取り組み
はじめに
1 工場における見習工制度
2 下請工場の熟練工養成
3 工業学校での養成
4 工業各種学校での養成
おわりに —— 中等工業教育と熟練工養成
第5章 中小鍛造工場調査にみる労働者像
はじめに
1 所有と経営
2 採用と労働移動
3 各労働者のプロフィールと賃金
4 技能形成と労働の実態
5 受発注関係
おわりに
補 論 戦時下の大都市における公立青年学校
第6章 技能形成の前提
—— なぜ職長教育が問題となったのか
はじめに
1 商工審議会の決議
2 職長制度の現状と職長養成施設(1929・31年)
3 職長制度の問題点
4 戦時下における職長教育施設の拡大
おわりに
第7章 熟練工・職長に対する社会教育
—— 協調会、労働学校、労務者輔導学級の活動
はじめに
1 協調会
2 福岡県労務者教育協議会
3 労働学校
4 文部省の労働者教育
おわりに
第8章 戦後への展開
—— 昭和20年代から高度成長へ
はじめに
1 昭和20年代の技能者養成 —— 概観
2 大企業における養成工制度の展開
3 中小企業における技能形成
おわりに —— 高度成長へ
終 章 技能形成問題がもたらしたもの
注
あとがき
図表一覧
索 引
書 評
『社会経済史学』(第83巻第4号、2018年2月、評者:市原博氏)
『経営史学』(第52巻第3号、2017年12月、評者:小路行彦氏)
『同時代史研究』(第10号、2017年12月、評者:野村正實氏)
『歴史と経済』(第237号、2017年10月、評者:木下順氏)
『日本労働研究雑誌』(第686号、2017年9月、評者:八幡成美氏)
『みすず』(第656号、2017年1・2月合併号、評者:伊東光晴氏)
『週刊エコノミスト』(2016年12月20日号、評者:橘川武郎氏)