内 容
「機械をつくる機械」の120年 ——。一国の技術水準を決定する工作機械工業で、現在わが国は世界の主導的立場にある。戦争をくぐり躍進はいかにして実現されたのか。「饗宴と飢餓」の波に翻弄されつつ、後進性からの脱却のために費やされた努力の軌跡を丹念に追跡したライフワーク。
目 次
序 章 「機械をつくる機械」の120年
第Ⅰ部 日本工作機械工業の形成
—— 戦前期
第1章 明治後期の工作機械工業
—— 重層的な市場・生産構造の形成
はじめに
1 明治後期の工作機械市場
2 明治後期の工作機械生産
おわりに
第2章 第1次世界大戦期の工作機械工業
——「饗宴」と拡大
はじめに
1 工作機械市場の拡大
2 生産構造と工作機械生産者3類型の成立
おわりに
第3章 1920年代の工作機械工業
——「飢餓」と縮小
はじめに
1 工作機械の需給構造
2 技術動向とメーカー・ユーザー間の交流
おわりに
第4章 1930年代の工作機械工業
—— 軍需・民需による拡大と市場・流通・生産構造の持続
はじめに
1 需要の急拡大と高度化
2 生産動向
おわりに
第5章 日本工作機械工業とアメリカ
—— 戦前・戦中期
はじめに
1 アメリカ製工作機械の輸入
2 主要工作機械メーカーとアメリカ
おわりに
補 論 アメリカ工作機械の輸入と商社
—— 1930~41年
第Ⅱ部 工作機械工業と経済統制
—— 戦時期
第6章 日中戦争期の工作機械工業
—— 戦時経済統制の展開と企業動向
はじめに
1 工作機械工業における戦時経済統制の展開過程
2 工作機械メーカーの動向
おわりに
第7章 太平洋戦争期の工作機械工業
——「飛躍」の実態
はじめに
1 戦時生産の動向:計画と実績
2 戦時統制の展開
3 企業経営の諸側面
おわりに
第8章 「戦時型工作機械」生産をめぐる諸問題
はじめに
1 戦時型工作機械構想の登場
2 戦時型工作機械の生産開始に向けた準備
3 戦時型工作機械生産の実態
おわりに
第Ⅲ部 戦前・戦時期の個別経営
第9章 唐津鉄工所
—— 自立的経営発展
はじめに
1 唐津鉄工所の経営発展
2 経営発展の諸条件
おわりに
第10章 大隈鉄工所
—— 下請管理の展開
はじめに
1 下請工場の構成と下請管理育成策の展開
2 戦時期における下請工場の動向
おわりに
第11章 碌々商店
—— 輸入商社からメーカーへ
はじめに
1 碌々商店設立まで
2 碌々商店の設立と成長
3 自社工場の設立とその経営
4 戦間期の碌々商店と野田正一の業界活動
5 戦時下の碌々商店と野田正一
おわりに
第12章 津上製作所
—— 総合商社との関わりを中心に
はじめに
1 創業期の津上製作所
2 三井物産の経営参加と津上製作所の拡大
おわりに —— 津上退助の辞任をめぐって
第Ⅳ部 工作機械工業の新展開
—— 戦後期
第13章 高度成長期の工作機械工業
—— 継承と変貌
はじめに
1 戦時期の遺産と戦後復興
2 高度成長期の業界動向と流通機構の変化
3 高度成長期における大手・中堅企業の経営と戦略
おわりに
第14章 NC化時代の到来と工作機械業界の構造変化
はじめに
1 1970年代後半から80年代の企業経営
2 1990年代・2000年代の新たな動き
おわりに —— 工作機械工業の課題
終 章 日本工作機械工業の発展条件
注
用語解説
あとがき
初出一覧
図表一覧
索 引
書 評
Social Science Japan Journal(SSJJ、第18巻第2号、2015年、評者:鈴木淳氏)
『歴史と経済』(第227号、2015年4月、評者:鈴木淳氏)
『社会経済史学』(第80巻第4号、2015年2月、評者:廣田義人氏)