内 容
戦後日本の復興を支え、高度成長を生み出した対米輸出への道は、いかにして切り拓かれていったのか? 自動車・家電に先駆けてアメリカを席捲したカメラ、ミシンなど軽機械の動向を初めて包括的に解明、労働集約型産業の変貌を現場からとらえて、今日に及ぶ発展を鮮やかに描き出す。
目 次
序 章 軽機械輸出の時代
—— 概観と政策展開
1 軽機械とは何か
2 軽機械工業の諸特徴
3 「軽機械振興法」の制定とその政策効果
第1章 双眼鏡工業とアメリカ市場
——「中進国」日本の重要産業
はじめに
1 生産構造
2 双眼鏡カルテルの動向
3 アメリカ市場の動向
おわりに
第2章 中小カメラメーカーの動向
——「四畳半メーカー」の隆盛と衰退
はじめに
1 「四畳半メーカー」の登場と後退
2 中小カメラメーカーの動向
3 カメラ工業とミシン工業におけるアセンブル生産の異同
おわりに
第3章 大手カメラ企業の展開
—— 生産・工程管理の革新と技能者の企業内養成
はじめに
1 生産・工程管理の革新
2 技能者の企業内養成の進展
おわりに
第4章 大手カメラ企業の輸出戦略
—— アメリカでの直接販売制の構築
はじめに
1 アメリカ市場における日本製カメラの流通機構
2 カメラメーカー各社の動向
3 アメリカ市場進出のプロセス
おわりに
第5章 ミシン工業におけるアセンブル・部品メーカー
—— 中小企業近代化への模索
はじめに
1 「アッセンブルメーカー」という用語について
2 アセンブルメーカーの誕生
3 部品メーカー・アセンブルメーカー・問屋の相互関係
4 在阪主要メーカーの成長と再編
5 部品メーカーの成長と兼業生産・生産転換
おわりに
第6章 大手ミシン企業の展開
—— 生産体制・外注管理の革新
はじめに
1 蛇の目ミシン —— 設備機械の増強と協力工場の育成
2 ブラザー工業 —— 量産設備の社内製作と直系会社からの部品調達
3 東京重機 —— 工業用ミシンの生産拡充と協力工場の育成・選別
おわりに
第7章 大手ミシン企業の輸出戦略
—— アメリカ市場の日本製品
はじめに
1 蛇の目ミシン —— アメリカミシン企業の買収と合弁企業の設立
2 ブラザー工業 —— 現地法人による世界展開
3 リッカー —— 苦悩する輸出戦略
4 東京重機 —— 工業用ミシンメーカーとしての世界展開
5 1960年代後半のアメリカ家庭用ミシン市場における日本製品
おわりに
第8章 軽機械工業のその後
—— カメラ・ミシン企業の製品多角化
はじめに
1 カメラ企業の動向
2 ミシン企業の動向
3 製品多角化の意義と課題
おわりに
終 章 戦後日本の対米輸出
—— 労働集約型産業の変貌と継起的企業買収
注
あとがき
図表一覧
索 引
書 評
『経営史学』(第59巻第2号、2024年9月、評者:田中幹大氏)
『社会経済史学』(第89巻第4号、2024年2月、評者:水野敦洋氏)
『歴史と経済』(第262号、2024年1月、評者:中島裕喜氏)