内 容
民主体制下で繰り返される紛争と抗議運動をのりこえ、発展への合意を導くカギとは? 2000年代以降の南米を決定づけた人々の政治参加の核心を、統計分析の限界を踏まえて歴史的・構造的に解明、「資源の呪い」や急進左派政権をめぐる通説を斥け、発展の契機を人々の行動から根源的に考える。
目 次
序 章 今日の資源生産国の課題
1 ラテンアメリカの場合
2 資源ブーム —— 利益と不利益の分配をめぐる争い
3 目 的 —— 資源政策と政治参加を説明する
4 視 点 —— 統計分析から事例研究へ
5 本書の議論 —— 交渉力の違いに着目する
6 構 成
第Ⅰ部 資源政策と政治参加
—— 基礎的考察
第1章 資源政策と政治参加を説明する
—— 認識枠組み
はじめに
1 資源政策を説明する —— 政治制度から人々の行動へ
2 非制度的な政治参加を説明する —— 動態的で内生的なプロセス
3 制度の社会的基礎およびその歴史的形成
おわりに
第2章 ラテンアメリカにおける資源開発と政治参加
はじめに
1 背 景
2 政権と資源政策
3 非制度的な政治参加
おわりに
第Ⅱ部 ラテンアメリカ地域の動向についての検証
第3章 石油・天然ガス部門の「国有化」政策は何によって決まるのか
はじめに
1 政治的論理と経済的論理 —— 先行研究とその限界
2 パネルデータ分析による検証
3 ボリビアの事例研究
おわりに
第4章 資源レントの増加は政治参加を活発化させたのか
はじめに
1 リサーチ・クエスチョン
2 仮 説
3 分 析
おわりに
第Ⅲ部 政治参加の歴史的形成
第5章 ペルーにおける先住民の政治参加
——「弱い社会」の形成
はじめに
1 「弱い社会」のペルー
2 ベラスコ革命までの歴史的経緯
3 左翼の伸張と失墜
4 テロとフジモリスモ
5 セルバの先住民組織
6 資源開発に対抗する先住民組織
おわりに
第6章 ボリビアにおける先住民の政治参加
——「強い社会」の形成
はじめに
1 「強い社会」のボリビア
2 1952年革命
3 軍農協定からカタリスタ運動へ
4 CIDOB、CONAMAQ、コカ農民6連合
5 民政移管後の政治参加と1990年代の改革
6 政治動員の高まり
おわりに
第Ⅳ部 資源政策をめぐる政治参加の諸側面
第7章 ペルー Ⅰ
—— 鉱山紛争の質的比較分析
はじめに
1 鉱山紛争研究
2 鉱山紛争の量的なイメージ
3 質的比較分析(QCA)
おわりに
第8章 ペルー Ⅱ
—— 非制度的な政治参加から制度的対話への困難な過程
はじめに
1 背 景
2 「アマゾン蜂起」—— なぜ対話できず衝突へと進んだか
3 バグア事件調査委員会 —— 制度的対話への困難な道のり
おわりに
第9章 ボリビア Ⅰ
—— 集権化が政治参加に及ぼす影響
はじめに
1 モラレス政権下の政策形成過程の特徴
2 TIPNIS 道路建設をめぐる政治参加
おわりに
第10章 ボリビア Ⅱ
—— 強力な利益団体が左右する鉱業政策
はじめに
1 鉱業部門の主要アクター
2 鉱業部門の政策過程とその特徴
3 事 例 —— コルキリ鉱山の「国有化」
おわりに
終 章 ラテンアメリカの挑戦
—— 結論と含意
1 何が起きてきたのか
2 望ましい資源政策とは何なのか
3 資源生産国の今後
文献リスト
あとがき
図表一覧
索 引
受 賞
書 評
『ラテンアメリカ・レポート』(第33巻第2号、2017年1月、評者:菊池啓一氏)