内 容
ラテンアメリカ地域は従属的低成長を余儀なくされたのか? 累積債務、ハイパーインフレ等の経済失政を教訓に、新たな成長戦略を模索するラテンアメリカ諸国の経済史を、1820年代独立以降のマクロデータの丹念な解析によって描き出し、その全体像を一新した初の本格的通史。
著者紹介
ビクター・バルマー=トーマス
(Victor Bulmer-Thomas)
1948年生まれ。ロンドン大学ラテンアメリカ研究所(ILAS)所長を経て、現在は英国国際問題研究所(Chatham House)所長。英国のみならずヨーロッパを代表するラテンアメリカ経済の研究者である。
本書では、計量経済学の手法を駆使しながら、歴史学、政治学など幅広いアプローチで植民地時代から現在までのラテンアメリカ経済史を丹念に分析した。本書のスペイン語版、中国語版は好評を博し、国際的にも高い評価を受けている。
編著に、United States and Latin America: The New Agenda, Harvard University Press, 1999 がある。
(所属等は初版第1刷発行時のものです。)
目 次
はじめに
第1章 ラテンアメリカの経済発展 —— 展 望
第2章 独立から19世紀中頃までの、ナショナルアイデンティティー
植民地の遺産
独立の経済的帰結
自由貿易の問題
輸出部門
非輸出経済
地域的な差異
第3章 輸出部門と世界経済、1850-1914年頃
世界需要と輸出主導型モデル
輸出実績
輸出サイクル
対外貿易のパターン
交易条件と国際輸送の費用
第4章 輸出主導型成長 —— 供給面
労働市場
土 地
資本市場
外国投資
政策の背景
第5章 輸出主導型成長と非輸出経済
国内消費向け農業(DUA)
製造業とその起源
工業と相対価格
第一次大戦直前における地域格差
第6章 第一次大戦とその後
旧体制の崩壊
貿易戦略
外国為替レート・金融・財政改革
外的ショック・相対価格・製造業部門
第7章 1930年代における政策・実績・構造変化
1929年恐慌
短期的な安定
不況からの回復
国際環境と輸出部門
非輸出経済の回復
内向きの発展への転換
第8章 戦争と新国際経済秩序
第二次大戦下の貿易と工業
貿易黒字・財政政策・インフレーション
戦後のジレンマ
新しい国際経済秩序
第9章 戦後期における内向きの開発
内向きモデル
外向きの諸国
地域統合
成長、所得、分配、および貧困
第10章 新貿易戦略と債務主導型成長
輸出促進
輸出代替
一次産品輸出型の開発
国家、国営企業、そして資本蓄積
債務主導型成長
第11章 債務、調整、そして回復
債務危機から債務負担へ
対外調整
国内調整と安定化
政策改革と新たな経済軌道
結 論
補 論 1990年代のラテンアメリカ経済
対外的な要因
新経済モデル
経済実績
地域格差
訳者あとがき
付 録
注
日本語訳のある文献
参考文献
図表一覧
索 引