内 容
ソフィストの役割は、これまで不当に軽視されてきた。本書は、プラトンが「ソフィスト」の活動を徹底的に分析・批判し、ソクラテスを範とする「哲学」の言論がいかに成立しうるかを根本から問い直さざるをえなかったことの意味を考察して、問題としての「ソフィスト」を浮き彫りにする。
目 次
本書を読むにあたって
『ソフィスト』篇の構成
第1章 『ソフィスト』篇をどう読むか
1 『ソフィスト』の多様な現れ
2 古代における “ねらい”(スコポス)の探索
3 『ソフィスト』の基礎問題
4 哲学的脱線
第2章 ソフィストと哲学者
1 ソフィストとは何かの問い
2 哲学者とは何かの問い
3 高貴なるソフィスト
4 ソフィストと哲学者の多様なイメージ
補論1 ソフィストをどう捉えるか
第3章 ソフィストはどう現れるか
1 ソフィストを定義すること
2 多様な現れから本質へ
3 現れの “探究的用法”
4 「現れ」をどう扱うか
第4章 現れの構造分析
1 ソフィストの現れの分析
2 反論すること
3 ソフィスト、専門家、聴衆
4 現れの構造
第5章 現れと像
1 「像」概念の導入
2 模倣家としてのソフィスト
3 制作、制作者、作品
4 呈示、観者、視点
5 模倣モデルと “現れ/実在” の対比
6 2種の像
7 像の定義
第6章 哲学に対するソフィストの反撃
1 中央部におけるソフィストの反撃
2 4つの困難の提起
3 「ない」をめぐる困難
4 虚偽をめぐる困難
5 像をめぐる困難
6 現れをめぐる困難
7 エレア派とプロタゴラス主義の間
第7章 ソフィストに対する哲学の防衛
1 中央部における哲学の防衛
2 対話の可能性(242b-251a)
3 ディアレクティケーの遂行(251a-259d)
4 言表、判断、ファンタシア(259d-264b)
第8章 ソフィストの最終定義
1 現像制作術
2 知者の模倣
3 無知者の空とぼけ(イロニー)
4 矛盾の制作
5 結論: ソフィストの本性
補論2 哲学者とソフィストの区別と「ある」と「ない」の対
あとがき
註
参考文献
引用出典
事項索引