内 容
近世からの商家廣海家に残された膨大な経営史料の分析をもとに、近世商家の近代への移行を新たな水準で解明、日本の産業発展と大阪湾岸の地域経済に与えた影響を示すとともに、近代日本の展開過程における商取引・株式投資の役割を徹底的な実証により浮き彫りにした画期的成果。
執筆者一覧
(編者)
石井寛治
中西 聡
(執筆者、執筆順)
岡田光代
花井俊介
二谷〔中西〕智子
中村尚史
山田雄久
落合 功
伊藤敏雄
谷本雅之
井奥成彦
西向宏介
目 次
凡 例
地 図
序 章 商家経営の展開と産業化
第1節 三つの課題 —— 商取引・株式投資・地域経済
第2節 近世期の泉南地域
第3節 近代期の泉南地域
第4節 廣海家の概観
第Ⅰ部 廣海家の経営展開
第Ⅰ部のねらい
第1章 収益基盤の転換と多様化
はじめに
第1節 「店卸」の構成と販売肥料市場の動向
第2節 商業的蓄積から有価証券による蓄積へ —— 幕末・明治期
第3節 株式を中核とする収益基盤の多様化 —— 大正・昭和戦前期
おわりに
補 論 商業収支の計算方法
第2章 営業支出と店員の活動
はじめに
第1節 「諸(小)払帳」にみる廣海家支出の概観
第2節 営業支出の推移
第3節 「営業費」内容の変化
第4節 店員の構成とその活動
おわりに
第3章 商業経営と不動産経営
はじめに
第1節 幕末・明治期の商業経営
第2節 大正・昭和戦前期の商業経営
第3節 不動産経営
おわりに
第4章 明治期の有価証券投資
はじめに
第1節 明治前期の有価証券投資
第2節 第一次企業勃興期の有価証券投資
第3節 日清戦後期の有価証券投資
第4節 日露戦後期の有価証券投資
おわりに
第5章 大正・昭和戦前期の有価証券投資
はじめに
第1節 株式投資の動向と資金調達
第2節 株式保有構造と投資行動
おわりに
第Ⅱ部 市場取引と廣海家
第Ⅱ部のねらい
第6章 米穀市場と廣海家の取引活動
はじめに
第1節 19世紀における大坂湾岸市場の発展
第2節 大坂湾岸市場の発展と廣海家
第3節 大阪湾岸市場の再編と廣海家
おわりに
第7章 廣海家商業の展開と全国市場
はじめに
第1節 幕末期における取引形態の展開
第2節 1870年代-90年代前半における米穀・肥料取引
第3節 1890年代後半以降の商業取引
おわりに
第8章 産地直接買付における情報伝達と輸送
はじめに
第1節 産地直接買付の開始
第2節 北海道直買の実態
第3節 第一次世界大戦と北海道直買の停止
第4節 取扱肥料の多様化と輸送
おわりに
第9章 廻船問屋廣海家の商業業務
はじめに
第1節 帳簿の記載内容
第2節 取引活動の実際 —— 1862(文久2)年の場合
第3節 明治前期における変容 —— 1889(明治22)年の場合
おわりに
第Ⅲ部 地域経済と廣海家
第Ⅲ部のねらい
第10章 幕末維新期泉南地域の肥料流通
はじめに
第1節 貝塚の肥料商人
第2節 廣海家の肥料販売
第3節 貝塚と岸和田
おわりに
補 論 明治中期泉南地域の肥料流通
第11章 近代泉南農業の変容と廣海家
はじめに
第1節 明治後期-大正期における泉南地域の農業構造の変化
第2節 泉南郡農家の作物・肥料選択と廣海家の肥料売買
第3節 廣海家と後背農村
第4節 廣海家と商業組合
おわりに
第12章 近世後期の手形流通と両替商
はじめに
第1節 泉州における手形流通
第2節 廣海家における両替商取引の動向
第3節 両替商取引の変化
おわりに —— 維新期の動向
第13章 近代の金融システムと廣海家
はじめに
第1節 商業活動における金融
第2節 投資活動を含む家業の金融
おわりに
終 章 総括と展望
あとがき
図表一覧
索 引
書 評
【讀賣新聞書評】