内 容
最も「近代的」な大都市において、なぜ伝統的な農業経営とも通底する、中小自営業の拡大がみられたのか? 東京に広がる玩具生産・流通のダイナミズムを読み解き、大工場と雇用労働のセットに収斂しない発展の論理を解明、近世から戦後に連なる日本経済の構造的特質に光をあてる。
目 次
凡 例
序 章 課題と対象
1 本書の課題
2 研究史と論点
3 対象と時期設定
第Ⅰ部 戦前期大都市の工業化と中小経営
第Ⅰ部はじめに
第1章 近代日本の都市「小経営」
——『東京市市勢調査』を素材として
はじめに
1 東京の就業構造と都市「小経営」
2 就業者の属性
3 世帯構成と女性家族労働
おわりに
第2章 両大戦間期日本の都市小工業
—— 東京府の場合
はじめに
1 東京における小工業の展開
2 都市小工業の業態
3 小工業の再生産
4 集積と集住 —— 小経営と社会関係
おわりに
第Ⅱ部 両大戦間期における新興中小工業の発展
第Ⅱ部はじめに
第3章 両大戦間期日本の中小工業と国際市場
—— 玩具輸出を事例として
はじめに
1 輸出「雑貨」工業の変遷
2 玩具輸出と世界工場
3 競争力の基盤 —— 外的条件と内的要因
おわりに
第4章 分散型生産組織の新展開
—— 両大戦間期東京の玩具工業
はじめに
1 業態 —— 問屋・製造業者・内職者
2 組織化 —— 分業と主体間の関係
3 分散型生産組織の基盤
4 問屋・製造業者の創生と再生産
おわりに
第Ⅲ部 戦後の拡大と変容
第Ⅲ部はじめに
第5章 戦後東京における玩具工業の発展
はじめに
1 輸出市場の動向
2 中小工業としての玩具生産
3 玩具工業の生産組織
おわりに
第6章 玩具業界の組織化と協同組合
はじめに
1 製造業者の組合活動
2 検査・登録事業
おわりに
第7章 戦後東京における中小経営の存立構造
はじめに
1 玩具工業と東京立地
2 東京立地と都市環境
おわりに
終 章 総括と展望
1 本書の要約
2 玩具産業史のダイナミズム
3 在来的発展と大都市
文献一覧
あとがき
図表一覧
索 引
書評等
『日本労働研究雑誌』(2024年10月号、第771号、評者:橋野知子氏)